設計と工事監理を担当した、旧郵便局舎(兵庫県篠山市)のリノベーションプロジェクト「colissimo(コリシモ)」http://colissimo.jp/。築70年、廃虚同然だった木造建物を、その持ち味をできるだけ手を加えず改装し、ギャラリーやカフェとして「100年先まで愛され、残る場所」へとよみがえらせた。(社)日本商環境設計家協会デザインアワード2012の金賞を受賞したこの作品で堤氏は、その昔、村人が集まり慕った場所にもう一度新しい光を入れ、その記憶を未来へつなぐというプロジェクトのコンセプトに共感したという。

「食べ物や音楽と違って、建築や空間は人の記憶に残りにくいですよね。でも、心に残るような空間づくりをしたい。だからいつも、にぎやかに人が集っているシーンを創造し、設計や空間をデザインしています。場所には人ありき、ですから」

今年5月に完成した飲食店「FOOD WORKER FUNAKI(フードワーカーフナキ)http://food-worker-funaki.com/」(大阪市福島区)も、「本当の美味しさって何だろう」を起点に、一人ひとりが「美味しい」と感じる時間を創造する場所というコンセプトに興味を持った。オーナーも想像していなかった、これまでにない空間デザインになった。

調理するシェフを眺めることができる店内

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