――どこかの党には所属せず、国民の代弁者となると言っています。具体的には、どこの誰の声を代弁するのでしょうか。

山本:原発問題によって、切り捨てられた人たちです。

私自身、目が覚めたのは原発事故がきっかけでした。国から切り捨てられた存在だと認識しました。そして、国の未来である子どもたちも、切り捨てられていることに気付きました。

文科省は子どもたちに対して、年間1ミリの被曝限度を20ミリまで上げると決めたのです。そんなことはあってはならないことです。子どもたちに対する、柔らかな死刑宣告と言ってもいいでしょう。

先の時代をつくる子どもたちを切り捨てる国に、未来はないです。「ただちに影響はない」の本当の意味を考えると分かりやすいです。いつか、被曝の影響で、人体に影響がでても、因果関係を分からなくさせ、国は責任を取らないつもりでしょう。

そして、原発問題を調べていくと見えてきたのは、労働問題ともつながっていることです。作業員は、低賃金、長時間労働を強いられています。心に余裕ができないため、社会問題と向き合えない、そのような労働環境で働かされているのです。

そこでは、過労死もあります。この国では、高い税金を払えば、労働者を使い潰すことも認められているのでしょうか。原発問題は労働問題です。使い捨てられる人がいて、はじめて成り立つものだからです。労働問題を解決しないと、原発問題は解決できません。

――確かに、汚染は東日本一体に広がっているかもしれません。しかし、「福島には住めない」「とにかく逃げろ」と言う発言に違和感を覚える人もいます。

山本:福島でリスクを軽減しながら生きていくと決めた人たちに対しては、不快に思われる言葉も口にしたことがあったかもしれません。

市民運動にかかわりだしたときは、「とにかく逃げてくれ」という思いでした。しかし今は、全員が逃げられるわけではないと思っています。

福島では、家族の絆や先祖から受け継いできた土地など、守らなければいけないものを持っている人たちがいます。それでも、何とか子どもたちだけでも避難できる方法はないかと思っています。

これからは、国民の税金を使わせていただく立場になります。原発問題で切り捨てられた人たちのために、覚悟と責任を持って動いていきます。経済優先で命を軽んじている既得権益者に対して、挑んでいきたいです。

1 2 3 4