――設立の経緯は。
和泉:新日本テック(大阪市鶴見区)の代表として金型などを扱うなかで、大企業からの依頼で単に良い製品をつくるだけでは生き残れないと感じていました。中小企業が自ら製品やサービスを提案し、情報発信をしていかなければと思い、同じ問題意識を持っていた経営者たちとともに設立しました。
現在は、精密金型や自動車部品の製作加工を行う会社や、食品会社、動画制作会社など21社が参加しています。社長という肩書自体にあまり意味はなく、参加企業同士の上下関係もありません。個々の特性を生かしながら、磁性流体を利用した新エネルギーの研究開発や、映像を用いた広報活動などさまざまな分野で協力し合っています。
――共同製作の例は。
和泉:アロマの香りがするスマートフォンクリーナー『ピカホ』を、今年3月に発売しました。シンナーをはじめとする有機溶剤を用いず、ココナッツ油などを使用した製品です。金型製造時に粘着材や油汚れを天然成分で落としていたことからヒントを得ました。
一つの製品が複数の企業を経て完成するまでの工程のうち、一部の工程しか担当しない企業が多いです。参加企業全体で製品を完成させることにより、一つ一つの部品が顧客の満足につながることを実感し、他の参加企業の役割を知り一体感を高めます。たとえ飲み会で提案されたことでも、翌日から真剣に実行します。大阪人らしく『面白いからやってみよう』という心意気で挑戦したいです。