「業務効率が悪い」「代表者に仕事が集中する」「業務品質がばらつく」などの問題は、大小あれどどのような組織も抱えているだろう。今年3月までトヨタ自動車の品質管理に40年以上携わってきた古谷健夫クオリティ・クリエイション社長は、問題を改善するにあたっては、「標準化することが重要」と言い切る。(オルタナS編集部)

登壇した古谷氏=5月13日、新宿三井ビルディングで

NPOなど非営利組織のマネジメントや組織課題の解決をサポートする「トヨタNPOカレッジ『カイケツ』(主催・トヨタ財団)が5月13日、開講した。今年で4回目で、半年にわたり1カ月に一度、東京に集まり、ワークショップなどを行う。初回となった13日には古谷社長が講演した。トヨタ流マネジメントのポイントを明かした。

品質とは何か。それは対象とするものの「よしあし」「値打ち」です。

ただし、やっかいなことは2つあります。第1にそれは誰が「値打ち」を測るのか。それは顧客が決める。第2には、「品質とはばらつくもの、変化するもの」ということです。

プリウスも100万台以上作りましたが、全く同じ車は一台としてありません。基本的に、品質はばらつくものなのです。

「ばらつき」の要因には4つあります。それを「4M」といいます。人(Man)、設備(Mashine)、方法(Method)、材料(Material)の4つです。

さらにやっかいなのは、社会や顧客の要求自体が変化し、ばらついていくことです。

「品質管理とは顧客満足を獲得し続けること」なのです。顧客満足度はCS(カスタマー・サティスファクション)という言葉でも知られています。品質管理(QC)とは、マネジメントそのものなのです。

SDCAの「S」はStandardize(標準化)

価値創造のためには 1)方針管理(PDCAサイクル) 2)日常管理(SDCA) 3)風土づくり(QCサークル活動) 4)問題解決(QC的なものの見方・考え方)が大事です。

このうち「SDCA」は聞きなれない方も多いでしょう。この「カイケツ」で最も重要なのが「SDCA」、すなわちStandardize(標準化)⇒Do(実行)⇒Check(検証) ⇒Act(是正処置)⇒S のサイクルです。

新幹線が東京駅に着くと、出発4分前には必ず清掃と座席の転換が完了するよう、作業が標準化されています。一見、当たり前のように見えますが、たえまない標準化と改善なくしてあのような作業はできません。

SDCAとPDCAは常に回り続けながら、連鎖し、組織自体のレベルを高めていくものです。1回、回しただけで完結するものではありません。自動車工場で、工場長の指示があればできたことが、工場長がいなくなった途端にできなくなる。部品の点数が増えただけで、今までのことができなくなることがあります。

要因には4つあります。それが、先ほど述べた「4M」です。それを解決していくのが、「フィッシュボーン図」(特性要因図)です。

人(Man)、設備(Mashine)、方法(Method)、材料(Material)の4つの要因を「魚の骨」のように図で表現し、「特性」を高めるためのヒントを探るのです。特性とは売上高だったり、企業価値だったりします。「カイケツ」では、このフィッシュボーン図を皆さんと一緒に作っていきます。(談)

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