コンテストの責任者を務める同社の多田盛弘部長は、新たな取り組みをはじめる理由として、コンサルタントとして国際協力に取り組むうえでの制約を挙げる。途上国の援助プロジェクトでは、国連機関や、各国の援助機関の活動のフレームワークがあるため、その枠組みの中で活動をする必要がある。
しかし、このような枠組みのある公的支援に、新たなアイデアから生み出される事業を加えることで、新しい「国際協力」の形を生みだしたい考えだ。「ソーシャルビジネスやBOPビジネスの従来の枠組みにとらわれず、自由な発想で提案してほしい」と話す。
同社は1993年の設立以来、JICAや外務省、世界銀行などから国際協力事業の委託を受け、農林水産、保健、教育、行政、人材育成などソフト分野の開発コンサルティング業務を手がけてきた。約100人のコンサルタントがおり、多くの社員が2~3カ国語を操る。これまで業務を実施してきた国は、中南米、アジア、アフリカ合わせて100カ国近くに及ぶ。
コンテストで受賞したアイデアは、同社の途上国のネットワークや業務経験を生かし、事業化することを前提としている。事業化の際には、発案者は様々な形で事業化に関与してほしい、と話す。仕事を持つ社会人はアドバイザーとして、学生は入社してもらう可能性もある。