人を思うエシカルの波を動かしているのは若者だけではない。志を持ったカッコいい熟年男性である「エシカルおやじ」たちもそうだ。数十年務めた会社を辞めて社会起業した者、マーケティングの知識を生かしてNPOのプロボノとして活動する者、自社製品にフェアトレードを導入し始めた者などがいる。重い責任を背負い、さまざまな経験を積んだ彼らが生み出したエシカルも、確実に社会変革の波を起こしている。(オルタナS副編集長=池田真隆)

※クリックすると、各記事をみることができます!


「今、変わるべきは若者ではなく、ぼくら大人たち」 米倉誠一郎

「草食系」や「内向的」など、若者を表現するキーワードはどこか元気がないものが多い。しかし、果たして実態はどうなのだろうか。イノベーションを核に、企業の経営戦略を研究する一橋大学イノベーション研究センターの米倉誠一郎教授は、「ソーシャルな分野を中心に若者の熱は高まってきている。大人たちが彼らの熱を解放させてやらなくてはいけない」と話す。

利用されているのはどっち? 山崎亮が読み解く人と在来作物の関係性

その土地でしか獲れない在来作物を介して人がつながっていく様を描いたドキュメンタリー作品『よみがえりのレシピ』(監督・渡辺智史)。その上映会トークゲストに訪れたコミュニティーデザイナーの山崎亮氏(39)は、在来作物を残そうと人が集まってくる様子に、「弱い存在だからこそ、人が寄り合う」と話す。

岡田武史「若い人は本質に気づく能力を高く持っている」

元サッカー日本代表監督で現在、中国のプロサッカークラブの監督を務める岡田武史さん。早稲田大学や立教大学でも教鞭を取り、森の生態系など環境学習を専門とする。「これからの時代をつくるのは若者たち」という岡田さんからエシカル志向の若者たちへのメッセージを伺った。

リー・ジャパンのジーンズに刻まれたメッセージ

老舗ジーンズメーカーであるリー・ジャパンでは、全商品の3分の1にあたる約40万本にオーガニックコットンを使用している。しかし、細川秀和取締役は、「販売時には、エシカルとは決して表に出さない。最初に押し付けるのではなく、購入後に気付いて勉強してもらう筋書きを作ることがメーカーの役割」と話す。

現代人が次に求めるフロンティア「地図上にないコミュニティ」

東北の旬な食べ物と、生産者の生き様が掲載された雑誌『東北食べる通信』が7月リリースした。毎月1980円からの、まさに「美味しい雑誌」だ。発行しているNPO東北開墾代表兼同雑誌編集長には、元岩手県議員の高橋博之さんが就任した。政治の世界から、一次産業の舞台に移った高橋さんは、「物理的に満足した現代人が次に求めるフロンティアは、地図上にないコミュニティーだ」と話す。

40歳転機に、NPO通して社会へ還元

40歳を転機に、これまで培ってきた知識やノウハウを社会に還元する長浜洋二氏。現在は、NPOマーケティング研究所の代表として、日本のNPOに向けてマーケティングの研修プログラムを提供する。生涯のテーマを「NPOとマーケティング」と決めた長浜氏に話を聞いた。

城さん、オルタナティブな進路に進んだ若者はどこへ向かうのでしょうか?

大学卒業後、企業ではなくNPOへ就職や移住してソーシャルビジネスを展開する若者が増えている。しかし、「ソーシャルビジネスプア」といわれるように、ソーシャルビジネスで結果を残している人はごくわずかである。人事コンサルタントの城繁幸さんに、オルタナティブな進路を選択した若者たちはこれからどこへ向かうのか考えを聞いた。

アメリカ極悪刑務所帰りの元ヤクザ、非行少年と向き合う

「10年間アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人」――前代未聞の経歴を持つ男が、非行に走る若者の悩み相談に乗っている。井上ケイさん(52)は、ヤクザだった29歳のとき、ハワイでFBIに捕まり、10年以上、米刑務所で過ごした。ヤクザと縁を切ったケイさんは、「親に捨てられ、行き場を失った子どもたちの悲痛の叫びは誰が受け止めるのか」と訴える。

「試しに俺の船乗ってみろ」唐桑の漁師、若者に呼びかけ

宮城県気仙沼市の唐桑半島で漁業を営む漁師、佐々木夫一(ささきゆういち)さん(61)は、漁師を募集している。唐桑は、東日本大震災の被災地域。津波の被害と放射能の課題がある。ただでさえ環境問題、政治、経済の影響を直に被りやすい第一次産業だが、若者が漁師の魅力やメリット、苦労話などを聞いた。