一方、防災無線やJ-ALERT(全国瞬時警報システム)など既存の音声情報を、屋外から屋内までくまなく行きわたらせる対策も重要だ。たとえば神戸の音響映像機器メーカー・TOAは、独自開発の「ホーンアレイスピーカー」と、既存の公共LANネットワークや放送設備を利用した「IP告知システム」の組み合わせで減災への貢献をめざす。

屋外用ホーンアレイスピーカーは、距離にして従来型製品の約2~3倍遠くまで音を明瞭に届けられ、少ない設置台数で必要エリアをカバーできる利点がある。またIP告知システムは、学校、病院、公民館などの公共施設に、クリアな音質で一斉館内放送を届けられる。どちらも平常時のメンテナンスの労力は抑えつつ、「万が一」に備える手段として、自治体からの問合せが増えているという。

遠達性にすぐれた「ホーンスピーカー」を連結した、TOAの「ホーンアレイスピーカー」。従来の防災型スピーカーの2~3倍の距離(500m~1km)まで音が届くだけでなく、設置場所直下の音量が抑えられ、騒音被害の低減にも役立つ。

今後は、総務省による「地方財政対策」により、防災・減災設備導入に対する国の大型補助金制度も成立間近と見られている。防災を巡って「音」の改革に踏み切る自治体がさらに増えそうだ。(オルタナS関西支局特派員=松本 幸)

※総務庁、気象庁、消防庁「平成23年度東日本大震災における避難行動等に関する面接調査(住民)」より


・導入事例:http://www.toa.co.jp/solution/installations/jichitai/

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