一度、友人に世界で起きている社会課題について話したことがある。そのときに返された言葉は、「それを知って私に何ができるのか分からない。罪悪感しか抱かない」だった。社会課題について関心が低い層に話してもうまく伝わらない原因は、「問題だけを伝えて、誰でも関われるアクションの部分を伝えていないからではないか」と気付いた。
■「社会貢献」ではなく「エシカル」に
大学を卒業し、社会人となり、自由に使える時間が減る中で、何かできることはないかと模索していた。学生時代のソーシャルな活動から、「ソーシャルなコミュニティーには、いつも同じ人しか集まっていない。拡大していくためには、無関心層を巻き込まないといけない」と問題意識を持っていた。
この意識から同サイトを立ち上げることにいたるのだが、「社会貢献」という言葉は、使いたくなかった。「社会貢献という言葉には、上から目線も感じて、無関心層には距離を与えてしまう気がした」と齋藤さん。どんな言葉を使えばいいのか悩んでいたときに、一冊の本と出会う。それは、エシカル研究を行うマーケティング会社デルフィスの社内チーム「デルフィス エシカル・プロジェクト」が執筆した『まだエシカルを知らないあなたへ』(産業能率大学出版部)だった。
同書を通じて、「エシカル」に出会った齋藤さんは、「ヨーロッパから伝わるエシカルの波は日本にも来ると感じた。この言葉なら、仕事や学校で時間がない人でも、消費を通じてソーシャルな活動ができるとうまく伝えられる」と確信した。
消費が誰かのためになる「エシカル消費」は、消費者と社会をつなげるものである。無関心層にもハードルは低く、行動を変えることで、社会を変えていくこともできるはずと感じた。
ソーシャルな情報を扱うが、ファッションサークルで培ったセンスを生かして、見せ方にもこだわる。目指すのは、「若い女性たちがエシカルを行動選択肢の一つに入れる」ことだ。「ソーシャルな活動は一握りの志高い人だけができるものではなく、全員が日常生活の中でできるもの。商品の背景を知れば、選択肢が広がる」。
・Huglobe!