礒尾奈加子さん(当時代々木高校1年生)はアクティブに活動をする高校生だった。2011年12月、学生団体Ihatovを友人と設立した。同団体では、高校生を対象にした講演会やセミナーを行い、山本太郎参議院議員や慶應義塾大学総合政策学部の國領二郎学部長などのインタビューを行ってきた。

大きく動きだしたのは、2012年6月。「高校生起業家育成プロジェクト」を開始する。代々木高校、開成高校、海城高校、青山学院高校、ICU高校、大妻女子高校から集まった高校生が仮想の音楽会社を設立し、3カ月間で音楽コンサートを企画するプロジェクトを始動した。こうして、礒尾さんは仮想会社の社長となった。

起業を体験するプロジェクトであるが、目的は収益を追求するのではなく、「リーダーシップ性」「自尊心」「協調性」をチームの中で育むことなので、コンサートの売上は全額、東北の被災地へ寄付することに定めた。

9月にライブイベントを開催することを目標に動き出した。7月には、アイルランド発のNPO法人ブラストビートも後援となり、勢いは増した。アーティストへの出演依頼は、8月に行った。ロンドンから帰国した日本人バンド「Day and Buffalo」、グラミー賞受賞プロデューサー・マルコムバーンによるプロデュース日本人バンド「FU」、アジア圏のフェスティバルに引っ張りだこの日本人バンド「PeopleJam」など、8組が決まった。

ライブ会場は、礒尾さんの強い憧れもあり、過去に「ブルーハーツ」や、「RCサクセション」が出演していた、ロックの聖地「渋谷屋根裏」で開催することに決めた。

礒尾さんは当時を振り返り、「イベント開催までの道程は本当に大変でした。出演予定だったアーティストが不慮の事故に遭い出演がキャンセルになったり、会社役員の仲違いも発生して、一時は組織が分断状態でした。メンターに相談しながら、なんとか、なんとか、踏ん張っていました。本当に必至でした」。

苦難を経験し、9月5日、渋谷屋根裏で「ROCK GOD DAM2012」を開催する。会場の動員数は最低集客人数だったため、赤字にはならなかったものの、寄付を行うだけの利益がでなかった。しかし、観に来た人や出演をしたアーティストから「来年も応援しますよ。続けて行きましょう。」との声をもらった。「イベントの内容や価値、存在はとても大きな影響を残せたと思います」と礒尾さんも胸を張った。

■ドイツ有名アーティストから直接メールが

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