社会的課題の解決をめざす、オープンイノベーションの動きが加速している。行政・企業・NPO・大学など異なるセクターが協働し、社会的課題の解決に動く。「オープン・ソーシャル・イノベーション」の最先端を追う。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
特定非営利活動法人横浜コミュニティデザイン・ラボ(神奈川県・横浜)はアクセンチュア(東京・港)と組み、ITで横浜市の地域課題の解決に取り組んでいる。両組織は今年6月、「LOCALGOOD YOKOHAMA」をウェブ上にリリースした。これは、横浜市内の地域課題を市民がITを生かして解決していく、ウェブ上のプラットホームだ。
同プラットホームでは、同市の地域課題を分かりやすく可視化するために3Dマップ(グーグルアース)上に表示し、NPO団体などの活動を紹介している。10月3日には機能を拡充し、市民がスマートフォンアプリやツイッターを通して地域課題を投稿できるようになった。投稿された市民の声は、3Dマップ上に表示され、各地域の課題を解析する機能もついた。
さらに、今回の機能拡充で、クラウドファンディングとスキルマッチングができるようになった。これにより、市民の声で可視化された地域課題を解決するために、資金調達や市民の連携が可能となる。
アクセンチュア ITアウトソーシング坂本啓介シニアマネージャーは、「地域課題の解決を行政だけに頼るのではなく、市民たちでもできるプラットホームを目指したい」と話す。
公益財団法人神戸国際医療交流財団は10月2日、伊藤忠メディカルプラザ(神戸市・中央)の開所式を行った。同医療施設の建設費5億円は、伊藤忠商事が寄付した。公益事業として、国内外の研究機関や企業、近隣の医療施設のハブとなり、医療技術の発展や若手人材育成に取り組む。
持続可能性を目的としたグリーンハッカソン、スマートシティ化をめざすアイデアソンも各地で起きている。
オープンイノベーションとは、ハーバード大学大学院経営学研究所ヘンリー・チェスブロウ教授が提唱したものだ。日々変わる環境に対応した革新的なビジネスモデルを構築するためには、自社のリソースだけでは手に負えなくなってきたことが背景にある。
ビジネスだけでなく、社会的課題も、原因が複雑に絡み合っており、「オープン・ソーシャル・イノベーション」が求められている。
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