人口増加、シンギュラリティ、食料・水不足問題、エネルギー問題… 未来に対しさまざまな社会問題が予測され、問題に向けてのたくさんのソリューションが求められている現代。理想や外枠の大きな話は語られていても、私たち一人ひとりがどういうあり方で、どう具体的に行動すればいいかといった議論についてあまり多くは語られていない現状があります。これからの社会に向けて、私たちは具体的にどういったマインドセットで、どういったアクションを起こせばいいのでしょうか?
そこで、一般社団法人ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン代表理事/放送作家/京都造形芸術大学教授の谷崎テトラさんと、国際環境NGO 350.ORGの日本支部 350Japan 代表 古野真さんのお二人にお話を伺いました。(松尾 沙織)
■環境・社会・経済、わたしたちはすべての問題を同時に解決していかなければならない
テトラ:今世界では『WorldShift』という考え方が広がってきています。『WorldShift』は、2009年に世界的なシンクタンクであるブダベストクラブのロンドン会議において、リーマンショック直後の危機的な事態を受けた「緊急事態におけるWorldShift 宣言」から始まりました。
生態系、経済、社会の問題がすべて結びついていて、単純に環境にいいことをしているだけでは間に合わない。WorldShift(文明の転換)が必要なんです。これは『ダイベストメント』の考え方とも共通していますよね。
※『WorldShift』=人類が地球や自然との共存を実現するために必要な意識変革、文明の転換のこと。自分、家庭、地域だけにとどめず、地球や世界視点を持ち、そこから逆算して行動することが国際社会において求められている。
古野:そうなんです。私は大学時代から格差や貧困問題、人権問題がどうやってつながっているのかについて考えた上で、その一つのイシューだけ、その分野だけではどうしても解決できないということを学びました。多様な分野の人たちが集まって一緒に解決しないといけない。
気候変動問題が最も危機的な状況になっているのは、さまざまなことのつながりが見えていないから。私たちが行ったことのインパクトが実感できていない。気候変動以外にも言えますが、問題の根源は生活であり、その先の経済、社会とつながっています。
私たちは、すべての問題を同時に考えて解決していかなければいけません。気候変動を研究している科学者たちは、どうやって物理的に科学的に世界が変化していくのか取り上げてきましたが、気候変動の問題は複雑に絡み合っていて、科学的なソリューションだけでは解決できない問題です。
テトラ:その問題にたどり着くまでの個人の意識や行動の変革が必要ですよね。個人の利益ではなく地球益のために行動する。その考え方のシフトが『WorldShift』。
今のグローバルな世界のなかでは、経済的にも環境的にも、すべての国がつながっているのが事実ですし、それに合わせて考え方をシフトしていかなければ問題解決へは至らない。そもそもは、人の考え方に基づいて行動が生まれます。その行動を変えるために、まず意識や考え方を変えなければならないわけです。
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WorldShift 京都フォーラム
2018/02/04 (日)
13:00 – 18:00
京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学内)
谷崎テトラ:
1964年生まれ。京都造形芸術大学教授/放送作家。ワールドシフトネットワークジャパン代表理事。環境・平和・社会貢献・フェアトレードなどをテーマにしたTV、ラジオ番組、出版を企画・構成するかたわら、新しい価値観(パラダイムシフト)や、持続可能な社会の転換(ワールドシフト)の 発信者&コーディネーターとして活動中。リオ+20など国際会議のNGO参加・運営・社会提言に関わるなど、持続可能な社会システムに関して深い知見を持つ。
http://tetra4.wixsite.com/home/profile
古野真:
1983年千葉県生まれ。5歳まで日本で過ごしオーストラリアのブリスベンに移住。クイーンズランド大学卒業後、カンボジアで国際協力ボランティアとして1年滞在。その後オーストラリアの環境省に勤務。7年間勤めた環境省を辞め、コンサルタントとしてサモアやパナマ、東ティモールなどで国際協力の仕事に従事。2015年に日本に戻り、環境NGO 350.ORG 日本支部を立ち上げる。
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