2020年、東京にパラリンピックがやってくる。
マスコミや世間の注目度はオリンピックに比べると低いが、試合の見ごたえは十分だ。選手たちの無限の可能性に心打たれる。2020年の東京では、その熱き戦いが生で見られるので、今から楽しみである。
前回開催されたロンドンパラリンピックの熱戦を振り返る厳選記事を紹介する。
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「シャリッ!」
カウントダウンと同時に会場に響いたのは、観客のリンゴをかじる音だ。オリンピックスタジアムがリンゴの形に赤く光る。随所にリンゴをモチーフにした演出で、ロンドンパラリンピックは幕を開けた。ほぼ満席となった会場は、開会前からウェーブが行き交っていた。
今月1日と2日、埼玉県所沢市の国立障がい者リハビリテーションセンターでパラリンピックスポーツであるゴールボールの合宿が男女ともに行われた。
取材で訪れた1日の午前、女子チームはコートを2面に分けてトレーニングを行った。片面ではパラリンピックに出場した代表メンバーと強化選手が、もう片面では新しく入った2名の若手選手が、それぞれコーチ陣からトレーニングを受け、午後は全選手を交えて練習試合が行われた。
視覚に障がいのある人たちの行うスポーツとして知られる「ゴールボール」。今年9月のロンドンパラリンピックでは日本女子チームが金メダルを獲得して一気に知名度が広がった。
先月11月の17、18日には、ゴールボールのチーム日本一を決める「日本ゴールボール選手権大会」が神戸市で行われ、金メダルを獲った全選手・小宮正江、浦田理恵、安達阿記子、中嶋茜、欠端瑛子、若杉遙がそれぞれ地元のチームから参戦した。
視覚障がい者と晴眼者が一緒に楽しめるスポーツ、 ゴールボール
ゴールが決まり、ホイッスルが鳴った途端に会場が沸く。それまでは選手は沈黙の内に集中し、観客も記者も静寂に張り詰めた緊張に息をのむ。ゴールボールは、3人対3人のチーム戦。
ガーゼの眼帯をした上にアイシェードをつけて、相手のゴールにバスケットボール大のボールをシュートする。中には鈴が3~4個はいっていて、その音を聞いて選手達はボールの位置を把握する。ラインの下には紐が入っていて、触れば分かるようになっている。
準決勝。日本チームが入場し選手紹介が始まった。元気よく両手を挙げるキャプテンの小宮正江選手。つづいて浦田理恵選手が淑やかにしなやかに礼をし、欠端瑛子選手、中嶋茜選手、若杉遥選手がエレガントに片手を上げての挨拶、そして安達阿記子選手がしっかりとした落ち着いた礼でしめる。
皆笑顔である。コーチ陣も厳しい表情の中に笑顔を見せる。予選第一戦から日本チームを追っていて、常に笑顔が絶えないのが日本チームの一番の強みだろうと感じる。
パラリンピック最初の予選前、全盲の水泳選手、秋山里奈さん(24)の応援団とお会いすることが出来た。ご両親と応援団長の伊藤さんとは、6月10日にさいたま新都心で開催された第26回関東身体障害者水泳選手権大会以来だ。
「今日まで自分が思ったようなレースはできませんでした。今日も8割くらいの力でのぞむつもりでしたが、実際レースになると全力に近かったので・・・・・・ 」
予選を3位で通過した女子100m背泳ぎS11クラス秋山里奈選手は、ストイックに自身の結果を分析する。