国民と政府の距離が遠のいている。今回の件を見ても、パブリックコメントの期間が極端に少ない。現在、パブリックコメントを受け付けている案件は32件あるが、平均受付期間は27日間である。秘密保全法案を担当する内閣情報調査室は「15日間という期間は、ほかの省庁の事例を参考に決めたもので、現時点で見直しは考えていない」としているが、議論すべき重要な案件であるにもかかわらず平均の半分ほどの期間しか声を聞かないのは疑問に思う。

今、民主主義を機能させるために、どう政治に向き合うべきなのか。ジャーナリストの田原総一朗氏は、「国は国民を騙すもの」という視点を持つべきと話す。

田原氏は、小学校5年生の1学期までは軍事教育を受けていた。そこで、こう教えられた。「この戦争は聖戦である。アメリカ、イギリス、オランダなどの国に対してアジアを解放して独立するための戦いである。大東亜戦争なのだ。君らもこの戦争に参加し、そして、死ね。君らの寿命は20歳だと思え。天皇陛下のために死ぬのだ」。

ところが、夏休みが終わり、2学期になると教師の教えが変わった。「あの戦争は侵略戦争であった。悪い戦争であった。民主主義の国であるアメリカやイギリスに戦争を仕掛けてしまった」。

そして、1学期までは英雄だった東条英機らが戦犯として捕まった。突然、犯罪者になったのだ。教師をはじめ、偉い人の意見が夏休みを機に180度変わった経験を、子どもの時に体感した。この経験から、田原氏は「偉い人の意見は一切信用できないと思うようになった」と話す。「国は国民を騙すもの。今もこの考えに変わりはない。政府の動きに目を光らせて、多いに議論してほしい」。

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