キックオフイベントが開催されたベルサール新宿グランドには、約600人の学生が集まった。基調講演には、元「広告批評」編集長で東北芸術工科大学客員教授の河尻亨一氏が登壇し、なぜ広告にソーシャルグッドが求められているのか解説した。

「2010年ぐらいからソーシャルグッドが世界の広告・マーケティングのトレンドになっている」。冒頭、河尻氏はこう切り出した。世界の広告コンテストでは、ソーシャル性がない作品は評価されにくくなっているという。

カンヌでは全11の部門があるが、今年度PR部門で受賞した17作品中12作品がソーシャルグッドだった。「世界中の課題が表面化してきて、広告の役割が問われている。企業の商品が売れるだけでなく、社会課題を解決する要素が求めらている」(河尻氏)

近年では、ソーシャルメディアの発達により、企業と消費者の関係性が対等になってきたと分析する。ツイッターやフェイスブックでの口コミが、商品の購買動機に大きく影響する時代になった。

このような時代において、「ストーリーテリングできないブランドは存続しづらい」と断言する。企業と消費者の双方向のコミュニケーションが求められる今、河尻氏はソーシャルグッドを、「コミュニティグッド」と言い換える。

「コミュニティと対話することが、コミュニティグッドにつながる。まさに、企業がコミュニティに対するおもてなしを考えることが、ソーシャルグッドである」(河尻氏)

■身近な課題から

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