2011年7月、当時大学生だった大嶋さんはこのプロジェクトを起こすきっかけとなるある活動を行っていた。全国15箇所の「高田駅」での募金活動だ。真夏の日も極寒の冬の日も、1年間をかけて全国の高田駅前に立ちながら募金を集めた。

約12万円が集まり、陸前高田市と同市を支援するNPOに寄付した。大嶋さんは、「あの活動は学生だからできたこと」と振り返る。2012年4月から社会人になり、「社会人だからできること」を模索していた。

そこで思いついたのが、「学生たちにきっかけを与えること」だ。東日本大震災を風化させないために、「高田」の縁をつないだ。2013年4月から9月にかけて、新潟県立高田高校、奈良県立高田高校、大分県立高田高校、高田学苑高田高校(三重)を周り、150人の生徒から1枚の布にメッセージを寄せてもらった。

そもそも大嶋さんが「高田」の縁をつないだきっかけは、大嶋さんが新潟県の旧高田市(現上越市)出身だからだ。東日本大震災の津波では、高田高校は3階建て校舎が全壊し、22人の生徒が犠牲になるほどの被害を受けた。「高田」の縁で何かしなくてはと感じ、動き出した。

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