地方の優良な中小企業を紹介するウェブサイト「ミライ企業図鑑」に、初の冊子版が誕生した。若年者の雇用のミスマッチが続くなか、地方で豊かな社会づくりに貢献する中小企業を若者に知ってもらおうと活動する「ミライ企業プロジェクト実行委員会」が作成。冊子は1万部発行し、2月10日から関西圏内にある約170大学に順次配布する。(オルタナS関西支局特派員=立藤 慶子)

より良い地域社会づくりに貢献する「ミライ企業」を紹介する「ミライ企業図鑑」の冊子

より良い地域社会づくりに貢献する「ミライ企業」を紹介する「ミライ企業図鑑」の冊子

同実行委員会は、新卒就職者の高い離職率や、企業規模や知名度で選びがちな若者の就職活動を問題視する大阪の中小企業やNPOが、2014年に発足させた。

企業を規模ではなく質で判断できるよう、創業200年以上の老舗企業が持続的に発展する要因を分析し、独自の指標を作成。基準を満たした企業を「ミライ企業」と表現し、ワークショップやセミナーなどを通して学生との接点を図ってきた。2014年11月には、ミライ企業の情報を発信するウェブサイト「ミライ企業図鑑」を開設し、今年2月時点で、大阪と沖縄にある計34の中小企業をサイト上で紹介している。

さらに今年に入り、「ミライ企業図鑑」の初の冊子版を作成した。冊子版では、ウェブサイトに掲載されている大阪のミライ企業26社のほか、その他の注目企業として44社の企業概要を新たに掲載。掲載企業の業種は製造業、福祉、IT、食品、美容、医療、情報産業、クリエイティブなど多岐にわたる。

「ミライ企業」には、環境循環型の住宅普及に取り組む住宅リフォーム会社や、障がい者の就労支援などを手掛けるNPO法人など、事業を通して社会課題の解決に意欲的に取り組む企業・NPOが多い。冊子で編集長を務めた神崎英徳さんは、「ミライ企業の経営者は『経営の軸は収益よりも社員の幸せ』など、大企業とは異なる価値観を持っている。このような経営者の生き様に触れて、人生の目標となる人のそばで働く若者が増えてほしい」と話す。

冊子は2月10日から発送を開始し、関西にある国公立・私立計約170大学で、各大学のキャリアセンターや就職課などに設置される予定だ。

同実行委員会では今後、「就職先としての中小企業の見分け方」などを説明する大学職員向けセミナーや学生向けセミナーを提供するとしている。

ミライ企業図鑑公式サイト
http://miraikigyouzukan.jp/

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