気仙沼高校軽音楽部
総勢30人ほどの部員が大集結した気仙沼高校軽音楽部。先輩であるthe Revaiz、スキニメイジの前のパフォーマンスだけあって、気合いは相当なもの。確かに裏打ちされた技術とティーンエイジャー独特の空気感を武器に、ステージを華やいだものとしてくれた。

西口フラット
「あー、あの、手拍子はいらないんで」という挑発的なひとことで始まったステージ。この日唯一のインストバンドであった彼ら。独特なセンス、取り憑かれたようなメロディラインで会場にいた音楽好きを圧倒し、大きな痕跡を残したステージだった。

Jazz For TOHOKU
東日本大震災後から「ジャズで被災地を元気に!」を掲げ、被災各地でライブを展開する彼ら。今回の出演オファーも、快く引き受けてくださったようで、この日も関東から駆けつけた。今回のメンバーは岡淳(sax, flute)、久米雅之(drums)、小井政都志(bass)、小山道之(guitar)の4人。緩急のあるメロディーで会場をひとつにし、いつまでも聞いていたくなるような居心地の良い空間を作り出した。

スキニメイジ
メンバー全員が、気仙沼高校軽音楽部出身の女子3人組というスキニメイジ。1曲目のカヴァー曲『100万回のアイラブユー』、ポップな攻めの曲で会場を沸かしたかと思うと、オリジナル曲では、ジャジーな、変拍子の曲で午後の時間を彩った。Vo.ユーカの声色は見事。表情豊かに様々なテイストの曲を歌い上げる。そのキュートの笑顔と歌声に会場は彼女にくびったけ。地元の方も多く集い、後輩達も見守るステージで、コアな感情を引っ張りだすかのような見事なパフォーマンスを披露した。

the Revaiz
「今日、ついに夢が叶う」Vo. atsushiはこの言葉を繰り返した。the Revaizは、メンバー全員が気仙沼出身。彼らは大学1年生のときに、東日本大震災を経験している。「でもね、気仙沼なんて全然好きじゃなかったんだよ(笑)なんもないしね、田舎特有のしがらみも強い」と言って彼は笑う。「明確にその意識が変わったのは震災があってから。好きじゃないと言っていたけれど、やっぱり何とかしなければいけないと思ったし。」と、atsushiは話した。故郷の気仙沼でフェスを行う。それは彼らにとってどんな意味があったのだろう。

攻撃的なパフォーマンスと、atsushiが持つステージでの絶対的な存在感。この日も1曲目『way to heaven』からフルスロットルだ。「おらあ!いこうぜ気仙沼!」の掛け声に、オーディエンスも全力で応える。会場のボルテージは彼らがステージに現れる前から高かったが、その熱はさらにあがっていく。

圧巻であったのが、6曲目『SHINE』。直前のMCで「この曲を、この気仙沼で演奏すること。もう1つの夢が叶います」とオーディエンスに語られてプレイされたこの曲は、彼らの震災の経験を歌った曲だ。会場には、実際に被災された方々も多い。そして涙を流す人も多かった。あるアーティストは「日本人は、3.11で負った痛みをどのように乗り越えるのか。どのようにアートで表現するのか。世界中が見ている」と語っていた。この日、the Revaizが見せたパフォーマンスは、1つの回答に見えた。

もちろん、まだまだ終わらない。アンコールでは、スキニメイジ、そして主催者である中川七海がステージに上がり、来年の01RF開催を約束した。私はthe Revaizに、先に述べた「3.11で負った痛みをどのように、音楽で、行動で表現するのか」ということをこれからも問い続けていきたい。その先には、今まで見たこともない光があると、確信している。

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