ベンチャラー図鑑第二弾は、今年6月にベンチャラーとして認定された、中澤郁美さんと宮本一輝さんペアをご紹介します。ただひたすらに「人が死ぬのがいやなんです」と、宮本さんは繰り返します。気仙沼市出身の中澤さんと、高校卒業後気仙沼のNPOでインターン中の宮本さんは、これ以上、死ななくてもいいはずの人が死ぬことを防ぎたい、という想いのもと、宮本さんの出身地である和歌山県の高校で被災者との交流の場作りをしたいと考えています。(アショカジャパン=新居日南恵)

写真右から中澤郁美さんと宮本一輝さん

和歌山県出身の宮本さんは、東日本大震災が起こったとき、まさに部活の練習中でした。テレビで見る津波に、底知れぬ恐怖を感じる日々を送っていた矢先に、通っていた少林寺拳法の道場の人が集まり、気仙沼に行くという話が持ち上がっていました。迷いなく参加した宮本さんは、気仙沼で厳しい現実を突きつけられることになります。悲しそうな子どもの姿、多くの人の死を目の当たりにして、彼はここで自分にできることをやっていこうと決意したのです。

気仙沼は彼の出身地でもなく、震災前は縁もゆかりもなかった場所です。
なぜ彼がそこまで、熱い想いをもって気仙沼でボランティアに励むようになったのか。

彼は「人の死に方のリアルにまでたどり着いたことがあるかないか」だと、記憶をたぐるように話してくれました。

人がなくなった状況を残酷なほどリアルに聞き、肌で感じた彼は、次第に周りの人にはこんな死に方をしてほしくないという想いが強くなっていったのです。

さまざまな若者の社会参加を促すイベントやさまざまな取り組みがなされていても、なかなか効果がでない状況の中、彼の体験は大きな意味を持つと考えます。
誰かのために何かしたいという想いの源は、苦しむ人を直接見て、その現実を残酷なほどリアルに感じることなのではないでしょうか。

この二人は、今後、和歌山県の高校で被災者との交流のイベントをつくっていこうと考えています。

宮本さんの出身地である和歌山県は、大震災が予想されているのにも関わらず、現地の人たちの関心が低いことが大きな問題です。

宮本さんは、地元の人々に、自分が見てきた被災地の現状を語り、さまざまな写真を見せて回りましたが、誰一人として自分ごととして捉えてくれなかった事へ危機感を感じました。

そこで、被災して、今後ほかの地域の人にこの経験を伝えていきたいと考える学生に、直接話してもらうのが良いのではないかと考え、この企画が始まりました。

実際に被災者の方の話をきくことで、その残酷な現実を直接見たかのように流れ込んできて、恐怖や実感に変わるのではないかと考えています。

それにより、被災地以外の人々の防災意識を高め、これ以上大切な人に死んでほしくない。それが彼らの願いです。

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