岩手県陸前高田市を襲った津波の到達地点に桜を植える市民たちがいる。この活動は、同市内で活動するNPO法人桜ライン311が中心となり、今後20年をかけて17000本の桜を植え、防災・減災意識を喚起することが狙いだ。今年に入り、東京から来た26歳の若者が、これまでの約2年間の活動を収めたドキュメンタリー映画を完成させた。(オルタナS副編集長=池田真隆)

桜を植えるメンバーたち

同映画のタイトルは、「あの街に桜が咲けば」。桜ライン311のメンバーや戸羽太陸前高田市長へのインタビュー映像では、桜を植える意義や将来世代への思いが話されている。東日本大震災を経験した人の強く生きる姿勢や命の尊さを感じることができる作品だ。主題歌は、陸前高田市にも何度か訪れているASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアンカンフージェネレーション)の後藤正文さんが協力した。

監督を務めたのは、東京都在住の小川光一さん(26)。多数のNGOやNPOに所属し、国際協力と東北支援を行う26歳の青年だ。東日本大震災の翌日から復興支援団体を設立し、親友の家族が居た陸前高田への支援に従事してきた。震災から3年を迎える今まで、陸前高田に通い続けてきた。

陸前高田に通い続けるなか、同市内で活動する桜ライン311と頻繁に交流機会を持つようになる。活動に共感し、2012年に、同団体の最年少理事(26歳)に就任した。理事は地元民で構成されるが、県外出身の理事としては2人目のことである。

小川さんが監督を務めたのは、今作で2作目だ。処女作は、2010年に制作した、カンボジアのエイズ患者らを取材したドキュメンタリー映画「それでも運命にイエスという。」である。同映画は、UFPFF国際平和映像祭発表会の選出作品として評価された。

小川さんは震災から3年が経過し、周りの友人の興味の無さに驚く機会も増えてきたという。しかし、「まだ終わってない。必死で生きている人たちが東北に居ることを再認識してもらいたい」と話す。

「大雨や竜巻もそうで、今の日本において災害は何処で起きてもおかしくない。この桜ライン311の活動を通して、この映画を通して、全国の1人でも多くの人に減災意識を持ってもらいたい」

同映画は、3月から4カ月をかけて、毎月15会場のペースで全国を上映して周る予定だ。

あの街に桜が咲けば公式サイト
予告編動画↓
https://www.youtube.com/watch?v=pp1Dbfqq-7g