社会起業家支援を行うアショカジャパンでは2012年から「(東北)ユースベンチャープログラム」を行っている。このプログラムでは社会問題の解決や東北の復興に対して、行動を起こしたいという気概とユニークなアイディアを持つ12歳~20歳の若者を支援している。アショカジャパンにより選出され、活動を続ける若者を特集する本企画。第4弾の今回紹介するのは、「ENCAN PROJECT~大震災を経験した神戸と東北をつなぐ東北物産展~」を行う津田紘那さん・高橋愛満さん。

後にいるのが高橋愛満さんと津田紘那さん

津田紘那さんと高橋愛満さんが住む兵庫県は、1995年に阪神淡路大震災を経験している。2011年3月11日、彼女たちの大学受験の1日前に発生した東日本大震災。 

大学生になり、自分の時間に融通が利くであろうこれからの大学生活の中において、自分たちに出来ることをしよう と思った彼女たち。
関西にある大学の経済・経営学部に在籍にしていることから、関西に根付きながら経済を回すプロジェクトに関わっていくことを決めた。

「阪神淡路大震災の時の恩返しがしたい」
「けれど、東北に行く時間もないし 実際に行くのは少し不安」という神戸の人の気持ち。
「ここ(住んでいた場所)に根付いて生計を立てたい」という東北の人の気持ち。

“東北と神戸の人が求めていること”と“津田さん・高橋さんのやりたいこと・できること”が丁度重なった結果、彼女たちは「ENCAN PROJECT~大震災を経験した神戸と東北をつなぐ東北物産展~」を2012年から行ことを決めた。

自分たちが神戸の人たちの代わりに足となり、決意のこもった商品を買い付けに・作り手さんたちに、思いに会いに東北へ足を運ぶ。津田さん高橋さんは、東北で買い付けた心が込められた商品を、ルミナリエやラブフェスといった神戸で開催されているイベント度に物産展を行い、東北で出逢った人たちや作り手さんたちの思いや 想い出、東北の良さを、商品を買いに来てくれた人たちに伝えている。

仙台の仮設住宅に住んでいる方がひとつひとつ手作りした冬限定「ころころゆきだるま」

彼女たちは、肩ひじ張らず、自分たちが東北に行って思ったこと・感じたこと・楽しかったことを自分たちの言葉で、神戸の人たちにFace to Faceで伝えていく。
 
ENCAN PROJECTをもっと世の中に広げていくため、店舗を借りて物産展を常時行うことも考えた。 しかし、彼女たちの目的は物産販売や利益促進が目的ではない。

一番大切にしたかったのは“神戸の人と東北の人たちをつなげること”。そして、支援やボランティア関係なく、「東北の良さ・楽しさ」を物産展に訪れた人には知ってほしい。

多くの商品を販売することや、ENCAN PROJECTを世に広めることは出来ないかもしれない。でも、商品を買いに訪れてきてくれた人たちに、彼女たち自身が直接会ってお喋りすることで、ひとりひとりに心を届けることが出来る。楽しさや嬉しさを届けることができる。 だからこそ、彼女たちはイベント度に物産展を行う道を選んだ。

ENCAN PROJECT販売の様子

ENCAN PROJECTを行っていく中で、嬉しいことがあったそうだ。

昨年の2013年12月5日~12日に開催された神戸ルミナリエ。(神戸ルミナリエは、阪神淡路大震災の犠牲者の鎮魂と都市の復興への夢と希望を託す共に、様々な被災地域交流を深め、大震災の記憶を永遠に語り継いでいく行事)

そこで、津田さん・高橋さんはENCAN PROJECTとして出店し、買い付けた商品たちを販売していたのだが、そこにお菓子を買いに来られたお客さんが、お菓子の裏に貼られている連絡先を見て、実際にそのお菓子を作っているケーキ屋さんに会いに行ったのだそう。

それを後日、買い付けをしたケーキ屋さんから、「あなたたちが売ってくれた商品を見て、ここに会いに来てくれた人がいたよ」教えてもらい とても嬉しかったのだという。

今までは、津田さん・高橋さんたちを挟んだ状態で作り手さんと買い手さんが繋がっていた状態だったのが、買い手さんが足を運んだことで直接作り手さんと繋がったのだ。 

彼女たちが行っていた「神戸と東北をつなぐ」行為。普段は目に見えないものであるはずの繋がりが、目に見える形で現れたことはいったいどれだけ嬉しいことなのだろう。

この春から津田さん・高橋さんは, ENCAN PROJECTを大学の後輩に受け継ぎ、彼女たちは新たな道へと歩いていく。その受け継ぎのスタンスも、「後輩たちがやりたかったらやればいい。やりたくなかったらやらなくていい。私たちは、私たちのやりたいこと・できることと求められていることが丁度重なってENCAN PROJECTを続けていただけだから、後輩たちも自分たちが思うENCANをすればいい」という彼女たちらしいまっすぐなものだ。

彼女たちがよく口にする言葉がある。
「未来のことは、未来の自分が決める。」

未来のことは、未来の自分が決める。未来のことを心配したって意味がない。今思う10年後の未来と、1年後の思う9年後の未来は絶対違うもの。

だからこそ、今自分の目の前にあることを。今自分に出来ること・したいことを彼女たちは大切に、突き進んでいるのだろう。

これから先の日本、東北、彼女たち、私たちの未来がどうなっているのかはわからない。しかし、彼女たちのように今ここから歩み続けた先には。今を大切に積み重ねた先はわたしにとって楽しみなものでしかない。

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