国内外のエシカルファッション情報を発信する「ETHICAL FASHION JAPAN(エシカルファッションジャパン 以下、EFJ)」は7日、サイトをリニューアルした。それに伴い、エシカルファッションの分類・定義を2014年最新版に改訂し、発表した。2012年のサイトオープン時には8つの分類がされていたが、今回の改訂で9つに分けられた。(オルタナS副編集長=池田真隆)

エシカルファッションとは、「オーガニック」「フェアトレード」「リサイクル」など、服の製造過程から消費、廃棄までのなかで、地球環境に配慮している取り組みを総称して表す言葉だ。

EFJでは、エシカルファッションをいかにして実践するのか、その「やり方」を指す言葉とし、2012年のサイトオープン時には、以下の8つに分類していた。

・ORGANIC
・FAIR TRADE
・UPCYCLE
・NATURAL
・CRAFTMANSHIP
・VINTAGE
・SUSTAINABLE FABRIC
・SLOW PRODUCTION

今回、現状のエシカルファッションシーンに合わせて9つに改訂した。

【2014改訂版】
1、FAIR LABOR

「FAIR LABOR」とは労働者の人権に関わるものを指す。大きく分けて3つに分類される。
①FAIR TRADE
・厳格な基準をクリアし、FAIR TRADEの認証を受けているもの
②SUSTAINABLE TRADE
・認証を受けていないが、独自の工房などを運営しているなどで公正な取引・労働者への保証を行っているもの
・そのほか労働に関わる基準を順守し、労働者の権利を守っている取り組み
②SUSTAINABLE LABOR
・スタッフの働きやすさを重視して柔軟な労働条件を整え、労働者のQOL向上を目指す取り組み(Work-Life Balance)

2、ORGANIC

オーガニックとは有機栽培の意味。化学合成農薬や化学肥料に頼らず、有機肥料などにより土壌の持つ力を生かして栽培する農法のこと。化学農薬・化成肥料、そして環境ホルモンや遺伝子組み換え技術を避けて、自然のままの健全な食物連鎖を目指すもの。

3、UPCYCLE&RECLAIM

①UPCYCLE……質の向上を伴って繊維ゴミ/廃棄衣類/古着を素材として再利用する取り組み
②RECLAIM……デッドストックや端材を回収して活用する取り組み

4、SUSTAINABLE MATERIALS

アパレルとは生地のことだが、合成繊維は石油などの資源を使用し、染色の段階でも大量の水を使用する。しかし、環境負荷は当然でも「より環境にやさしい」工夫のなされた生地のことを「SUSTAINABLE FABRIC」としてエシカルと考えた。具体的には以下のものだ。

①天然繊維の使用
②植物由来の化学繊維の使用(精製セルロース繊維、PLA繊維)
③再生PET繊維
⑤環境負荷の低い加工が施された繊維

5、CRAFTSMANSHIP

昔から受け継がれてきた文化・技術を未来に伝え残すような取り組みを「CRAFTSMANSHIP」とした。具体的には、以下のものだ。

①伝統技術・工芸を取り入れた服づくり
②ヴィンテージ素材を取り入れた服づくり
③非常に高度な熟練の技術をもって作られたもの(機械/手づくりいかんにかかわらず)

6、LOCAL MADE

「MADE IN JAPAN」「MADE IN USA」「MADE IN U.K.」――その土地の技術と産業を生かし、活性化を目指して作ることを「LOCAL MADE」として分類した。具体的には次のような取り組みが見られている。

①<先進国により多く見られるケース>空洞化した産業を回復・自国の産業を再興させる取り組み
②<途上国により多く見られるケース>地域の文化を生かしながら雇用を創出し、経済的なエンパワメントも目指す取り組み
その土地の産業を盛り上げることで雇用を創出し、経済的にも成長することを目指した取り組みが「LOCAL MADE」だと分類します。

7、CARE ANIMALS

動物に配慮した製造を行っていることを「CARE ANIMALS」として分類した。具体的には次の取り組みを分類している。

①ヴィーガンブランドとして、動物性素材を一切使用しない
②トレーサビリティを確保し、適切な環境で飼育された動物の素材のみを使用する
③トレーサビリティを確保し、食肉産業の副産物として生じた皮革部分を使用する

8、WASTE-LESS

衣料品ライフサイクル各段階でのゴミ・無駄を削減する取り組みを「WASTE LESS」とした。具体的には、以下の試みを指す。

①カーボンフットプリントを削減する取り組み
③3Dプリンティング技術
④ゼロ・ウェイスト・デザイン
④着用時のCO2を削減する取り組み

9、SOCIAL PROJECTS

本業の利益、ビジネスモデルを生かして課題を解決するさまざまなプログラムを実施することを「SOCIAL PROJECT」と分類します。具体的には以下のような取り組みを指すこととします。

①NPO/NGOへの寄付(一時的なキャンペーンは含みません)
②地域の団体または自社で職業訓練機会を生み、就職の支援を行う
③地域の団体へ自社の仕事を依頼する
④物資支援

このタイミングで改訂した理由を、EFJの竹村伊央代表は、「運営する中で現状にそぐわない部分も出てきており、きりも良かったので、新年の幕開けに今回のリニューアル・改訂を行った」と話す。

エシカルカテゴリーの改訂は、今後も時代に応じて適宜改訂をしていくつもりだという。同時に、「エシカルに必要なのはより幅広い選択肢。この分類以外にもまだまだやり方が生まれてくる可能性は大いにある。もっと数多くのデザイナーや企業に挑戦してもらいたいし、EFJがその後押しとなれるよう努力していきたい」と期待を込めた。

ETHICAL FASHION JAPAN