今年創立140周年を迎える富野小学校(京都府城陽市)で同志社大学の学生たちによるワークショップが開かれた。小学校を祝うオリジナルダンスをつくることで、子どもたちに表現する楽しさを体験してもらうのがねらいだ。大学のプロジェクト科目の一環で、大学生にとっては全ての企画運営を担い、子どもたちをサポートすることで人間力を養う場にもなっている。(オルタナS関西特派員=中井芳野)
「富野小、長生き!富野小、フォーエバー!」子どもたちの元気いっぱいの声が体育館に響く。参加したのは小学4年生およそ90人。8つのチームに分かれ、1チーム約11人にアシスタントの大学生が1人つく。
創作のルールは体のどこかを使って「祝とのしょう140周年」の文字を書くことだ。手や足を使ったり、頭を回したりと、子どもたちの想像力が膨らむ。「最後どうする?」「どこでポーズするんだっけ?」と子どもたちが大学生に相談する。
そして、あちこちでユニークなダンスが始まった。手でくちばしを作り鳥のまねをしたり、見入ってしまうぐらいきれいな側転を次々に決めていく。チームごとに個性があり、息を合わせながらダンスを踊る子どもたちの目が輝いていた。参加した女の子は「自分たちで考えたんだよ。手で『祝』って書いてるの!体を動かすのはあまり好きではないけど、今日のダンスは楽しい」と話した。
このワークショップは同志社大学の学部横断型プロジェクト科目「社会と結びつくアート〜アートで社会貢献するプロジェクトづくり〜」の一環で開催。神学部などの女子学生たち9人が、1年間をかけて「社会と結びつくアート」をテーマに、全4回のプロジェクトを企画運営する。教室での座学中心の学習とは異なり、実践型の授業で主体的に学んでいくのが特徴だ。
現在、11月末の創立140周年記念式典での発表会に向けて、子どもたちと一緒に取り組んでいる。神学部神学科4年生の岩岡咲帆さん(21)は「アートや美術に興味はありませんでしたが、子どもが好きで、実際に小学校に行って触れ合えるところに惹かれました」と語る。
学生たちはプロジェクトを進めていく中で伝えたい思いがある。ダンスづくりをすることで、お互いに意見をぶつけ合いながら一つのものをつくりあげる。それによって子どもたち自身の好奇心を引き出し、周りと協力することを学んでもらいたいという。「子どもたちが将来、自分の興味を見つけるきっかけになれば」と岩岡さんは話す。
子どもたちの反応もさまざまだ。元気に自分から近づいている子もいれば、恥ずかしがり屋でおとなしい子もおり、学生たちは最初、どう声をかけたらいいのか分からず、距離感を掴むのに苦労したという。社会学部メディア学科2年生の宮阪芽依さん (20)は「子どもたちに目線を合わせ、ただ思いっきり無邪気になるよう心がけました。すると心を少しずつ開いてくれたのがうれしかったです」と語る。
発表会当日、子どもたちはアシスタントなしでダンスを披露する。岩岡さんは「力を出し切ってダンスがうまくいくことを祈る」と語った。