NPO法人「NPOサポートセンター」は22日、国内最大規模のNPOに特化した就職・転職説明会を開催した。当日出展したNPOは32団体で、471人の参加者が集まった。今年で4年目となるが、毎年参加者の7割が20代後半から30代で、大学生よりも、入社して基礎を積んだ社会人のほうが関心が高いという。(オルタナS副編集長=池田真隆)

NPO職員から説明を受ける参加者

それぞれのNPOは団体の魅力や働きがいを熱く説明した

なぜ、社会人はNPOで働くことに強く興味を持つのか。受け皿となるNPO側が経験者のみを採用したがる背景もあるが、NPOサポートセンターの小堀悠事務局長代行は、「20代後半から30代前半の人たちが就職活動をしたときには、そもそもNPOに特化した説明会はなかった。時代が変わり、今後のキャリアを考える選択肢として入ってきた」と話す。

NPO法ができて16年が経った。国内では約48000のNPO法人があり、その規模は、営業しているコンビ二エンスストアの店舗数と同じだ。その半数以上が年間収入500万円以下だが、寄付だけに頼らず事業性を持った団体も生まれだし、年間収入1億円を超える安定したNPOも生まれてきた。

同説明会は今回で4回目だが、今年になって初めて新卒採用を受け入れる団体が出てきた。病児保育問題に取り組む認定NPO法人フローレンスや教育格差解消を目指し活動するNPO法人キッズドアなどだ。新卒採用を実施したのは、出展した32団体の1割ほどだが、「成長の速さには目を見張るものがある」と小堀事務局長代行は言う。

■「NPOに興味ある」9割

会員制転職サイト「ビズリーチ」は昨年11月、同社初となるNPO経営幹部への転職マッチングイベントを開催した。培ったビジネススキルを社会的課題の解決へ生かしたいと、ビズリーチ会員70人が参加した。参加者の平均年齢は34歳だった。

ビズリーチ会員1289人に事前調査を行い、「ビジネス経験をNPOに生かしたい」と回答した人は全体の85%に及んでいた。そして、「NPOに興味ある」と回答した人は9割に及ぶ。

同マッチングイベントに出展した飢餓の解決に取り組むNPO法人TABLE FOR TWO International(テーブルフォーツー)の小暮真久代表は、「アメリカではビジネスプロフェッショナルたちが、NPOなどのソーシャルセクターへ転職する流れが活発」と話す。

アメリカでは、文系就職人気ランキングでNPOのティーチフォーアメリカがグーグルやアップルを抜き、1位を獲得したこともある。年間収入600億円のメガNPOも存在する。

マッチングイベントに参加した、都内のコンサル会社に勤務する伊藤淳さん(33)は、NPOに関心を持った背景を、「ライフワークと仕事の達成感が影響している」と話した。新卒入社したときに掲げていた目標を成し遂げたので、新たなやりがいを探していたのだ。

小暮代表は、外資コンサルのマッキンゼー出身だ。「ぼくらがロールモデルとならなくてはいけない。今はまだ(NPOへの転職は)少数だが、3年以内には、NPOへの転職が当たり前となる社会にしていきたい」と意気込む。