このほど、一人の青年が運動靴を担いでスリランカへ渡航する。スリランカの子どもたちへ運動靴をプレゼントするためだ。この企画を立てた長谷部和希さん(23)は、なぜ費用など全て自己負担してまでスリランカへ運動靴を送るのか。(オルタナS編集部員=伊藤由姫)

長谷部和希さん

スリランカ民主社会主義共和国、通称スリランカではクリケットの次にバレーボールが大変人気で国技といってもよいほどだ。日本ではバレーボールは屋内競技という印象が強いが、スリランカの子どもは屋外で楽しむ。

そのため、当然靴が必要であるが、スリランカの子どもたちは基本的にサンダルしか持っていない。しかも靴は高級品のため、そのサンダルをも壊したくないと、裸足でバレーボールをする子どもたちがほとんどだ。そんな危険な状態を少しでも改善するため、日本国内に眠っている運動靴を集めてプレゼントする。

長谷部さんは、長野県で行われたバレーボールの世界大会で非常に感銘を受け、バレーボールを通じて他人を感動させたいと思い、中学、高校とバレーボールを続け、全国2位になったり、世界バレーに出場したりと選手として活躍していた。

しかし、上手くなるにつれ、自分の才能や他者との差を感じ、バレーボール選手としての道をあきらめ、新たな夢へと歩みだした。それが、発展途上国の子どもたちにバレーボールを教えること、そして世界の子どもたちが自分とバレーボールを通して世界に興味を持ったり、自己成長するきっかけを作ったりしたいというものだった。

長谷部さんは、2011年11月に初めてスリランカの田舎を訪れ、バレーボールの指導を行った。運動靴は、不公平感のないようバレーボール大会を開催し、勝利チームに賞品としてプレゼントしたり、指導期間でより懸命に取り組んでくれた子どもたちにプレゼントしたりと工夫した。

長谷部さんは、青年海外協力隊や企業の協賛、運動靴を支援してくれた全国の方々の支えがあったからこそできたと語る。30kg近い荷物となった運動靴たちを担いで歩いている時、何度も心が折れそうになった。しかし、スリランカの子どもたちへプレゼントしたときに、「ありがとう」といってくれたり、ニコニコしながら履いてみせてくれたりしたとき、本当にやってよかったと感じたという。

今回も青年海外協力隊や全国の人々の協力を願い、大きな荷物とともにスリランカへ笑顔を運ぶ。3月10日ほどまで、運動靴を募集している。サイズは22〜26cmくらいまで。

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