東京大学大学院の橋本研究室では、電流発生菌といわれるシュワネラ菌を利用した微生物燃料電池の研究開発を行っている。

シュワネラ菌はエサとしての有機物がある限り発電し続けるので、現在、生ごみなど廃棄物処理や下水処理場での発電システムなどに応用する研究が進められている。

微生物燃料電池の仕組みは非常にシンプルだ。私たち人間は、食べ物などの有機物から得られる電子エネルギーで生命活動を維持している。その際、エネルギーを抽出したあとの電子を、呼吸で取り入れた酸素を利用して体外に捨てている。

一方、シュワネラ菌は酸素を必要とせず、電子を直接電極に流し、電流を生み出すことができる。その特性を活かして研究が進められているのが、微生物燃料電池というわけだ。

同研究室の渡邊一哉特任准教授は、「電流発生菌は自己再生・修復ができることが強み。10年後の実用化を目指したい」と語り、未だ解明しきれてはいないという電流発生菌の研究に一層力を入れていきたいと意気込む。

目には見えない微生物たちが、私たちのエネルギーの担う未来は、もうそこまできている。(オルタナS副編集長 高橋遼)


■参考URL
東京大学 橋本研究室
http://www.light.t.u-tokyo.ac.jp/