伊藤忠商事とキッザニアの運営会社KCJ GROUP(東京・千代田、住谷栄之資社長)は8月11日と12日にかけて、小学生を対象にした、ブランドビジネスを学ぶ職業体験企画を実施した。小学生たちは、商社パーソンとしての心得やブランドについての講義を受け、学んだ知識を生かして、新商品の企画提案を行った。事業性と周辺地域の繁栄の両立をめざす「三方良し」の精神を学びながら、働くことについて考えた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

新商品の企画を考える小学生=8月12日、伊藤忠本社で

新商品の企画を考える小学生=8月12日、伊藤忠商事本社で

同企画は、「アウトオブキッザニア 伊藤忠商事 ブランドビジネスの職業体験」。ブランドビジネスを体験することで、小学生たちに働くとはどういうことか考えてもらうことが狙いだ。

小学生たちは伊藤忠商事の社員として、取り組んだ。参加したのは、公募で選ばれた小学4~6年の30人。初日、小学生たちは同社に朝から出社し、先輩社員から総合商社の仕事内容や「ブランドとは何か」というテーマで講義を受けた。その後、実践として、商品のデザイン・企画立案、クライアントへの提案までを体験した。

今回、商品企画の実例として取り上げたのは、小学生向けのスポーツシューズブランド「瞬足」。伊藤忠商事は、同ブランドのマスターライセンシーを持ち、ライセンスビジネスを行っている。

小学生たちは瞬足の販売メーカー・アキレス本社にも行き、PCを使って靴のデザイン作業を体験した。課題として、靴下のデザイン案が与えられ、画用紙に自由に絵を描いた。30人のなかから、2人の小学生が考えたデザインが採用され、9月末から、キッザニア東京の「デパート」パビリオン内で販売される予定だ。

最終日となった2日目は、伊藤忠商事本社に戻り、7~8人のグループで商品企画を行った。テーマは、「学校生活で展開する『瞬足』ブランドの靴以外の新商品」。それぞれのグループに、同社の先輩社員がサポート役として入り、商品名やキャッチコピー、価格、販売戦略などを考えた。

小学生が企画したのは、突然のゲリラ豪雨でも走って帰ることができる、「芯が強く、ランドセルまで覆える変形の傘」や、靴に装着することが可能な防犯ブザーなど。防犯ブザーの売りは、「ストップウォッチやライトが付き、ボタンを押すと助けを求める声が鳴ること」だ。

その後、各グループは企画した新商品について、5分間でプレゼンした。プレゼン相手は、アキレスのシューズ事業部事業企画本部 津端裕本部長や伊藤忠商事でアキレス製品の営業を担当する先輩社員ら。

商品の機能・価格・販売戦略など考えた企画を発表した=8月12日、伊藤忠商事本社で

商品の機能・価格・宣伝方法など考えた企画を発表した=8月12日、伊藤忠商事本社で

プレゼン後の質疑応答では、商品の機能やデザインだけでなく、価格や販売場所、宣伝などについてもたずねられていた=8月12日、伊藤忠商事本社で

プレゼン後の質疑応答では、商品の機能やデザインだけでなく、価格や販売場所、宣伝方法などについても、するどい質問がたずねられていた=8月12日、伊藤忠商事本社で

2日間の職業体験企画を終え、伊藤忠商事広報部・後藤麻希子氏は、「学んだ商人の精神を、今後に生かしてほしい」と話す。同社は「ひとりの商人、無数の使命」というコーポレートメッセージを掲げており、事業性を追求することだけでなく、周辺地域の繁栄も考えることが商人としての使命としている。

小学生たちには、「商品企画を考えたことで、商品にかかわるすべての人・環境・社会についても目を向けた。このことを忘れないで、働くことを自分なりに考えてくれればうれしい」と述べた。