商品やサービスにソーシャルなコンセプトを持たせたいが、社内の許可が得られずに悩む担当者への強い味方が誕生した。「コーズ・リレーテッド・マーケティング」「フェアトレード」「エシカル」の3分野の専門家・実践者の共著『ソーシャル・プロダクト・マーケティング 社会に良い。信頼されるブランドをつくる3つの方法(産業能率大学出版)』だ。社会的意義のある企画を成就するためのヒントが豊富に記されている。(オルタナS副編集長=池田真隆)

人気ブランドのソーシャルな企画の取り組みが豊富に紹介されている

ソーシャル性を持たせた企画を提案しても、社内の理解が得られないケースは多い。その原因はどこにあるのか。本書は、過去に成功したコーズ・マーケティングやフェアトレードの事例を専門家が読み取り、事業が共感された要因を明らかにしている。

執筆者は3人いる。寄付つき商品である「コーズブランド」という概念を日本で初めて提唱したCausebrand Lab.(コーズブランドラボ)の野村尚克代表、NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンの中島佳織事務局長、マーケティング会社デルフィスで、エシカル調査・研究を行うデルフィス エシカル・プロジェクトのメンバーだ。

本書で取り扱う事例は、森永製菓の「1チョコフォー1スマイル」やヴォルビックの「1リッターフォー10リッター」など複数の人気ブランドの取り組みだ。消費者の価値観の変化を分析し、時代に合った方法論を提案する。

筆者が注目したのは「エシカル消費」をテーマに書かれた第4章。新興エシカルブランドの紹介や、企業がエシカルビジネスを実践するうえでの課題と解決方法が掲載されている。エシカル発祥の地・イギリスからどのようにして日本に上陸したのか、社会的背景から把握できる。

『ソーシャル・プロダクト・マーケティング 社会に良い。信頼されるブランドをつくる3つの方法』