東京オリンピックを控え、食のユニバーサル化に注目が集まっている。イスラム教徒安心の印であるハラール認証もそのひとつだ。日本ではまだなじみが薄いが、参入する企業は増えており、ブランド化としての広がりも見せる。(オルタナS編集部員=佐藤理来)
ハラールとは「イスラム法で認められたもの」という意味のアラビア語だ。イスラム教では日常生活にまつわる教典上の制約が多く、豚やアルコールなどの禁止もそのひとつ。原料から製造過程、完成品に至るまで一連が対象となり、問題ないと証明されると受けられるのがハラール認証だ。特定の物質を含まないことのほかには、食肉の解体の際には祈りをささげること、ハラールでないもの(ハラーム)と混ざらないようにすること、など項目は多岐にわたる。世界で16億人いるというイスラム教徒だが、信仰の形には多少の幅があるため、細部は認証機関によって異なる場合もある。認証の有無をバーコードからチェックできるスマフォアプリもあり、イスラム教徒にとって生活に根付いたものだ。
ハラールフードの卸販売をしている日本アセラル商事によると、国産ハラール商品はまだまだ少ないが、現在は月間1.5~2社程度のペースで新たにハラール認証を取る企業が出てきているとのこと。同社のサイトにはハラール醤油やあられなどの商品が並ぶ。
また、茨城県常総市の卵卸会社である倉持産業は、2013年5月に卵でのハラール認証を取った。本来卵はそのものがハラールであり認証は必要ない。しかし、製造過程を明らかにし、ハラール認証という「お墨付き」を得ることで、ブランド化の意図を込めたそうだ。