農水省が発表した農業就業人口男女割合(2012年度)によると、農業で働く女子は51%で男性よりも多く、128.4万人も従事している。そこで、昨年11月6日、農水省で「第1回農業女子プロジェクト推進会議」が開催され、「農業女子プロジェクト」(事務局:農水省経営局就農・女性課)がスタートした。(今一生)

農業女子プロジェクトの公式サイトのトップページ

農水省は女性農林漁業者を中心とするネットワーク「ひめこらぼ」(事務局 一般社団法人農山漁村女性・生活活動支援協会)と連携し、女性農業者の持つさまざまな知恵を、食卓を超えて社会に届けようとしている。

社会や農業界での女性農業者の存在感を高め、女性農業者自らの意識の改革と経営力の発展を促し、若い女性の農業従事者を増やすという目的で、農業従事者はもちろん、旅行代理店のエイチ・アイ・エスや化粧品会社のコーセー、ダイハツ工業、東急ハンズなど幅広い分野の人材・企業が会議に集まった。

今年3月4日に第2回の推進会議が開かれ、プロジェクトの広報にも力を入れる方針だが、フェイスブックの専用ページへ「いいね」を6000個まで集める目標には到達していない(※4月9日時点で3890)。もっとも、会議で発表された企業と農業女子たちが協働で推進する個別プロジェクトは、既に日本各地でそれぞれ始動している。

タニタでは、商品モニターやタニタリソースと農業女子とのコラボによって体の中からの美を創る「インナービューティーを創ろうプロジェクト」を発表。レンタルのニッケンでは、圃地にトイレがないという課題に対して女子が使いたくなる仮設トイレを考える「女子的トイレ開発」の議論を始めている。

フェイスブックの専用ページでは、クイズ形式で楽しく農業知識を得られる「農業女子検定」などが試みられている。農水省の発表した活動報告サイトでも、「食品を触ってもよいハンドクリームがあったらよいのに」という農業現場からの提案や、「農業って楽しい。かっこいい。そして儲かる」などの希望のメッセージが発信されている。

農水省からの依頼でこのプロジェクトのプロデュースを担っているのは、「ふつうの女の子たちが社会を変える」をミッションにその担い手を増やしている団体Over the Rainbow(東京・渋谷※一般社団法人として法人化を申請予定)だ。

佐野里佳子代表は、「まだ農業界内の女子と企業が協働を始めてる段階ですが、農業と関係ないふつうの女子が入り込める余地を増やしたい」と言う。

「農水省がオーソライズしてくれるプロジェクトなので、これまで農業と無縁だった女の子たちが胸を張って取り組めると思います。私たちは、企業と行政を結びつけるコーディネートやマーケティング、新規事業の立案などにコミットし、農業女子向けのファッションアイテムを作ったり、農業女子がビジネスを学べる研修も開発していきたい」

なお、農業女子プロジェクトの近況は、公式サイトやFacebookの専用ページから見ることができる。食糧自給率が高いとはいえない日本で、女性によって新たな農業のスタイルや関連ビジネスが増えることを期待したい。(今一生)

・農業女子プロジェクト

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