北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)が4月に出した資源評価によると、太平洋クロマグロの資源量は初期資源量の6%未満までに低下していることがわかった。これを受けて世界最大規模の自然環境保護団体であるWWFジャパンは、現状の漁業を続ければ資源枯渇が避けられないとし、現状よりさらに確実な管理措置を5月1日提出した報告書で求めた。(オルタナS編集部=佐藤 理来)

乱獲されるクロマグロ

中西部太平洋まぐろ委員会(WCPFC)は2013年、3歳以下の未成魚の漁獲量の15%削減を採択しているが、調査によると年齢別漁獲圧は3歳が31%、4歳は60%と高い割合を占める。この状態が続けば回復は不可能であり、未成魚(4歳以下)漁獲をたとえ50%削減したとしても、2024年までに初期資源の20%を超えるのは難しいことがわかっている。

WWFジャパンの水産プロジェクトリーダーの山内愛子氏は「次の10年間にわたってかなり厳しい管理措置の導入をしなければ、太平洋クロマグロの資源枯渇は避けられない」と警告した。一方、漁獲量の多い日本が率先して取り組めば国際的意義があるとも述べた。

WWFジャパンは、クロマグロの資源回復のために、科学的かつ実効性のある管理措置を早急に進める必要があると強調。9月に開催されるWCPFC北小委員会での改善措置採択を求めた。