立教大学は、放射性ストロンチウムの新しい検出方法を開発したと4月24日発表した。従来の放射化学分析を用いずに計測するもので、短時間・低コストでの測定が可能になる。調査の遅れていた、原発事故に伴う汚染状況測定への貢献が期待できそうだ。(オルタナS編集部員=佐藤 理来)
開発をしたのは、理学部の村田次郎教授を中心とする研究チーム。放射性ストロンチウムは放射性セシウムよりも対外に排出されにくく、ガンマ線の放出が少ないため計測が難しいとされてきた。新技術では化学処理を経ず、物理的に非破壊で測定できる。
通常の放射化学分析では、ストロンチウムが崩壊時に放出する高エネルギーのベータ線を補足して測定する。しかしこれは純粋なストロンチウムに有効な方法だ。原発事故由来の放射能を含む土壌など、放射性セシウムの多い環境ではセシウムの放出するガンマ線にかき消されてしまい、測定が難しかった。
本研究ではセシウムによるガンマ線を実測し、内部物質での産卵・吸収などを考慮した統計分析で、ストロンチウム起源の放射能強度を測定する。多少の補正が必要なものの、サンプルに対して行った放射化学分析結果と相関を示し、有効な手段であることが確認されている。
感度においては放射化学分析に劣るものの、高濃度の蓄積の有無を判断にはかなり有効だ。1サンプルあたり10万円単位でかかっていたコストが電気代程度に削減でき、日数も1カ月だったものが1日に短縮される。
ストロンチウムは骨に吸収されやすい化学的性質をもち、内部被ばくへの懸念などから調査のニーズは高かった。
参考論文)Nondestructive measurement of environmental radioactive strontium