中東に位置するヨルダンには、隣国シリアで起こる内戦の影響で数え切れないほどの難民が逃げ込んでいる。シリア内戦は勃発から丸々三年以上が経過するが、全くと言っていいほど解決の糸口が見えない。それどころか、明らかに現地の状況は悪化の一方を辿る。そんなシリア内戦によって失われた命は既に15万人を超える。今現在も、戦闘や空爆によって新たな命が失われる。そんな、ヨルダン東部に位置する砂漠地帯に世界最大規模となるシリア難民を受け入れる為の難民キャンプが誕生した。(吉田 尚弘)

シリア国内で都心から国境付近の田舎町に逃げ住む難民

■収容人数13万人、世界最大規模

難民キャンプが作られた場所は、ヨルダン東部の砂漠地帯。首都アンマンからは、100キロ程離れた場所に位置している。名前は、アズラク難民キャンプ。総面積は、15平方キロ。

収容人数は、5 万人としているが拡張可能で最大13 万人の難民を受けいれる事ができるようだ。ヨルダンには、シリアから60 万人以上の難民が逃げ込んでいるとの情報がある一方で、今までのヨルダン国内最大難民キャンプであるザータリ難民キャンプは、収容人数10万人で既に過密状態で問題になっている。

先日は、キャンプ内に住む難民と現地の警備部隊が衝突をする騒ぎも発生した。一部報道では、ザータリ難民キャンプ内の人々を新しくできるアズラク難民キャンプ内に移すという情報もあるが、その真意は不明だ。移動をする事になっても時間と数多くの問題が発生するだろう。

この13万人規模難民キャンプができたことは、ヨルダンに逃げ込んだシリア難民の人々にとっては朗報なのかも知れない。しかし、キャンプ内の問題は山済みだ。

■ストレス溜まる難民、公衆トイレ破壊の事例も

そもそも理解しておかないといけない点が、一点ある。それは、難民キャンプ内で正式に生活をする事が許可された人々は、キャンプ内から移動をする事ができないという点だ。

そのため、キャンプ内には一つの町(世界)が存在する。ザータリ難民キャンプ運営関係者の話によれば、現在のザータリ難民キャンプの中は、いくつかのエリアに分かれていると話す。

そして、エリア内にはレストラン、日用品を販売する小売店、床屋など外の世界と同じ様なジャンルの店が難民の人々によって運営をされているという。

一方で、一つのテントの中で多数の人々と生活をしないといけない彼らは、想像のできない程のストレスを抱えるという。その結果、公衆トイレの便器が破壊されたり、難民同士のトラブルもあると言う。

つまり、キャンプに入る事はあくまで始まりであり、重要なのはその後の生活だ。そして、何よりも根本的な原因であるシリア内戦を解決させなくてはならない。

シリア内戦の問題は、シリアそして中東の国々だけの問題ではない。我々日本人だからこそ、手助けできる事もあるはずだ。今一度、我々は日本人として現地の状況を知り、人間として何かできる事を探すべきではないだろうか。

【筆者・吉田尚弘TV出演情報】
5/10 0:58~ CBCTV「ノブナガ」ゲスト出演