「人と比較しないと、自分のことは分からない」――趣味は同じだが、知らない人と行くツアーが若者の間で人気を博している。事前にインターネット上で、スケジュールを相談し、当日になってから初めて出会う。このサービスを開発した、若干24歳の若手起業家は、「多くの人と交流することで、違いを実感し、楽しみながら自分のアイデンティティーが分かっていく」と話す。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

旅の形を変えるトリッピースの石田代表

このサービスを生み出した、trippiece(トリッピース)の石田言行(いあん)代表(24)は、旅の魅力を「何か知らない・見えないものとの出合い」と言う。ネットの発達で、社会が可視化された時代に、あえて「見えない」ことが価値になると考えている。

同サービスでは、ウユニ塩湖など世界の絶景を観にいく海外旅行から、花火大会、食べ歩きツアーなどまで複数の企画が掲載されている。特徴的なのは、企画の発案者が旅行代理店ではなく、個人という点だ。旅好きが、サイト上で旅仲間を集めて、規定人数に達すると実際に旅をする仕組みだ。

サービス開始から3年で、登録者10万人を突破した。20~30代が6割だ。5月には、英語版もリリースし、今年中にアジア圏で1000人の登録者を目指す。現在は、日本語版と英語版の2種類だが、ゆくゆくは、英語版のみに統一し、国を超えての旅づくりを実現する。

旅の形は多様になっていくが、旅に求めるニーズは変わらないという。「時代が変わっても、旅に求めるニーズは変化していないと感じている。いつでも五感をふるわしてくれる出来事に刺激を受け、旅が好きになる」(石田代表)。

トリッピースでは、日常とは異なる環境に、初対面の人と行くことで、刺激はさらに倍増される。「ツアーでは、参加者と話し合うことで、比較できる。そうすることで、自分が人間のスタンダードという感覚から抜けだし、自分自身の理解にもつながる」。

・trippieceはこちらから