2014年5月31日、6月1日。全国各地で今年初の猛暑日を観測した週末、東京でアショカジャパン・ユースベンチャープログラムのパネル審査会と報告会が開催された。

アショカとは、1980年にビル・ドレイトンによって創設された世界最大の社会起業家ネットワークを持つ団体である。アショカジャパンでは2012年からユースベンチャープログラムを行っており、社会問題の解決や東北の復興に対して行動を起こしたいという気概とユニークなアイデアを持つ12〜20歳の若者を支援している。(志田 淳)

集まった参加者らで集合写真

新たなユースベンチャラーを選出するパネル審査会が開催された5月31日。この日は全国から参加した7組の若者がプランを発表し、その中の5組が新たなユースベンチャラーとして承認された。

この日のパネリストは、1980年代のアショカ創設期からの中枢メンバーであるビル・カーター氏、社会起業家の曽根原久司氏と林賢司氏の3人。各発表者に対し、鋭く、それでいて今後の指針となるような質問が飛んだ。

この日の総評としてカーター氏は「みんなで考える時間を持ったということが大切。そこには決して答えはなく、考え続け、内省していくことが大事だ。発表した一人一人から、チェンジメーカーになるという気持ちが伝わってきた」と締めた。

翌日の6月1日には、第6・7期ユースベンチャラー6組の中間報告、第4期ユースベンチャラー2組の最終報告が行われた。この半年間、そして1年間で彼らがどのように苦悩し、乗り越えて進んできたのかをそれぞれの個性を交えながら発表した。

自分で考えて実行し、時には挫折や失敗も味わいながら前進していく姿勢は、同世代の若者だけではなく、大人たちにもまた多くの刺激を与えている。1年間のユースベンチャーの期間を終えたその先に、彼らはどのような景色を見て、何を感じ、どう行動してゆくのだろう。そして彼らによって、社会はどう動いてゆくのだろう。

「課題先進国」とまで呼ばれるようになったこの国は、視点を変えれば、多くの疑問を抱くことができるチャンスが至る所に転がっている国と言うこともできる。

問題に気付き、疑問を抱き、そして自らのアイデアで変化を起こそうとする人が増えれば、世界一課題を多く抱える国は、世界一革新的で、独創的な国へと変わってゆくのではないだろうか。