26歳以下の若者たちが、マンション内のコミュニティについて話し合った。東京23区内の住居の46%が集合住宅であり、災害時の助け合いや独居老人、病児保育、ひきこもりなど共助が求められる課題は山積みだ。若い頃からインターネットに親しみ、シェアの感覚に抵抗がない若者たちは、どのようにして隣近所とコミュニティを築くのだろうか。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
6月10日、三井不動産レジデンシャルは「Neighbors Next U26 Summit」を開催した。会場には、26歳以下の若手社会人や学生合わせて約40人が集まった。5人1組のワークショップを行い、「コミュニティの築き方」「シェアハウスに住めるか」などのテーマで話し合った。
近年、シェアハウスが若者の間で人気だが、会場内の約9割が「シェアハウスに住める」と回答した。さらに、「住みたいのは都市か田舎か」という質問には、それぞれ半数が手を上げた。そして、「コミュニティは人工的にでもつくった方が良い」と答えたのは約8割だった。
集合住宅でのコミュニティ形成は、時として生命にかかわる。阪神淡路大震災のときでは、人命救助された65%が隣近所に住む住民たちの共助によるものだった。
しかし、サステナブル・コミュニティ研究会(代表・三井不動産レジデンシャル)が2月に行った関東圏での調査では、コミュニティ形成にかんしてのマンション内の活動が「特にない」が約60%、マンション内で行われている行事が「年に1回程度」「2~5回」が約30%と課題が明らかになった。
■シェアハウス、広がりの要因
集合住宅でのコミュニティ形成にかんして、気をつけるべき点もある。単純に人をつなぎ合わせるだけでは逆効果なのだ。
当日、コミュニティ形成にかんする専門家たちが登壇した。そのなかの一人、HITOTOWA(ヒトトワ)・荒昌史代表は、「コミュニティを濃くしすぎてはいけない」と話した。さらに、シェアハウスを紹介するサイト「ひつじ不動産」を運営するひつじインキュベーションスクエア(東京・渋谷)・北川大祐代表は、「人と人とをつなげる仕組みを設計段階でつくることもできるが、それよりも重要なことがある」と指摘する。
「つながることの素晴らしさを気付かせるのではなく、つながったことで出てくることが予想される負の部分を解決する仕組みを考えなくてはいけない」(北川代表)
近年、シェアハウスが盛り上がりを見せているが、その背景には、複数人の若者たちが一つ屋根の下で生活するドキュメンタリー番組や東日本大震災での絆の再考があるとされている。
しかし、北川代表は、「それらの要因はまったく関係がない。シェアハウスが人気なのは、住みやすい良い物件が増えたから」と、住宅はブームに左右されるようなカジュアルなものではないと断言する。
北川代表は、運営事業者がシェアハウスを設計するうえで気をつけてほしい共有部分は、「キッチン」と考える。同じ釜の飯を食った者たちは自然と仲間意識が芽生えるように、「料理をする人がかすがい的存在になる。だから、キッチンは中心部に置き、おしゃれにする」と話した。