憲法9条をファッションで訴えるデザイナーがいる。特定秘密保護法が施行される方向で進むなど、日本が右傾化に向かっているという危機感が、そのデザイナーを動かした。(フリーライター=今一生)

article 9(憲法第9条/英文) Vネックカットソー ホワイト x ブラック

article 9(憲法第9条/英文) Vネックカットソー ホワイト x ブラック

デザイナーの中野貴さん(49歳)は、憲法9条の英語原文をプリントしたファッションアイテムを制作した。中野さんは、純国産のアクセサリー、レザーアイテムを提供しているアクセサリーブランドknife *acoustic groove*(ナイフ アコースティック グルーヴ)を展開している。

このほど制作したアイテムは、「article 9 Vネックカットソー」と「article 9 トートバッグ」だ。シンプルなデザインだが、カットソーでは背面内側の部分、トートは穴部分にまで手作業でプリントを施した。10月12日までの期間限定で受注製作する。

なぜ今、憲法9条の原文をファッションアイテムに取り入れようとしたのか。中野さんは学生時代からボランティアや音楽活動を始め、店にも普段から社会意識の高いミュージシャンやアーティストの出入りが多かった。そうしたつながりの中で、東日本大震災の被災地をピンポイントで支援する「福島県相馬市応援プロジェクト MY LIFE IS MY MESSAGE」や「東北応援プロジェクトみんなの心に一輪の花を」を仲間と一緒に進め、自分たちでできる必要な支援を提供してきた。

その後、特定秘密保護法や原発の再稼動に反対するデモなどを注意深く見てきた。その結果、「安倍内閣以後、良くない方向へ行っている」と危機感を抱くようになった。

中野さんは、「ファッションブランドとして何ができるかと考え、9条が大事だと思い起こしてもらうきっかけをつくりたかった」と話す。「放射能や戦争より、もっと人の命を大事にしたい。僕は右翼でも左翼でもありません。9条を大事にしようという考えは、活動家だけのものではないはず」。

イラクなどに人道支援で派遣されても自殺に追い込まれる自衛隊員もいるという。中野さんは、「当たり前のことをしているだけ」と言う。「ラブ&ピース。それだけです。当たり前なのですけど、今すごく忘れられている気がします。当たり前でいいのですよ。声を荒げなくても」

●knife *acoustic groove*(ナイフ アコースティック グルーヴ) 
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