ベッドや机、エアコンなど設備は整っている

ベッドや机、エアコンなど設備は整っている

このハイスペックの物件、入居するためには条件がある。それは、まちづくり組織「一般社団法人淡路エリアマネジメント(以下、AAM)」の学生会員となり、地域活動に参加することだ。

地域活動は、「必修」「選択必修」「選択」の3つに分かれている。「必修」活動は、春と秋にワテラスで行われる防災訓練など。「選択必修」活動は、2年に1度の神田祭、千代田区主催の運動会、町会が行う夜警などから年間で1つ参加するというもの。そして「選択」活動は、AAMが行うマルシェやワークショップなどのイベント運営や情報発信の手伝いが中心だ。

神田祭を盛り上げる学生たち

神田祭を盛り上げる学生たち

「1日の活動=1ポイント」を目安に各活動にポイントが設定されており、学生はそれに参加して年間で12ポイント以上を取得する必要がある。それが果たせなければ次年度の再契約はできない(契約は1年の定期建物賃貸借契約。再契約は2回までで最長3年間住むことができる)。

2013年4月のオープン以降、全36戸は満室が続いており、現在、明治大学、日本大学、東京大学など12大学の学生が住んでいる。

学生が人をつなぐ媒介に

学生が住みながら地域活動に参加するという企画はどのようにして生まれたのか。ワテラススチューデントハウスを所有・管理する安田不動産株式会社 資産営業事業本部の松本久美氏(AAMマネージャー)は、「地域住民のアイデアから生まれた」と話す。

かつてこの地域は人口減少・高齢化という課題を抱えていた。それを象徴するかのように、地域の核であった千代田区立淡路小学校が1993年に統廃合された。ワテラスはその跡地を種地とした再開発プロジェクトである。

そして、同地に暮らす多様な人々を積極的につなぐ役割を担っていく組織としてAAMが発足した。新旧住民やワーカーなどをつなぐ存在として期待されている。そもそもAAMの活動エリアである神田界隈は、古くから周辺に多くの学校を抱え、学生街として知られている。前述のとおり従前の当地域は人口減少と高齢化に悩む地域であった。ワテラススチューデントハウスは、「地域の資源である学生に住んでもらい、その力をまちづくりに生かしては」という地元の声から生まれた。

[showwhatsnew]
1 2 3