日本財団とオルタナS編集部は12月25日、ハンセン病の差別撤廃をテーマにしたアイデアソンを開いた。参加したのは、日本財団の社員ら15人と、都内の大学生7人。ハンセン病のことを知らない若者たちに、どのように広めていくのか考えた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
日本財団は12月、ハンセン病の差別撤廃をめざすための啓発サイト「THINK NOW ハンセン病」をオープンした。そのサイトでは、ダライ・ラマや田原総一朗氏、マツコ・デラックスさんなどの著名人が動画で、差別撤廃を訴えている。そうそうたるビッグネームが並んでいるが、閲覧数が低いことが課題だ。アイデアソンでは、このサイトを軸にSNSでどのようにして広めていくのかをテーマに話し合った。
■著名人の生かし方
同サイトを見た印象として、大学生からは、「本人の言葉で語っていないように見える」との指摘があがった。「ハンセン病のことを考えようと主張しているが、言わされているように見えて、本人たちが考えていないのではないか」と、別の学生からも出た。
そこで、解決策として、
・当事者のインタビュー動画を取り、その動画を著名人に見てもらい、思ったことを語ってもらう
というアイデアが出た。やはり、ハンセン病の問題は大きすぎて、突然聞かれても、言葉に詰まってしまうもの。当事者が「どう思っているのか」「どうしてほしいのか」について語ってもらった動画を見せて、その感想を語ってもらうほうが、著名人も気持ちを込めて話しやすいのではないかとの考えだ。そして、当事者の動画は、一般公開はしないで、著名人だけに見せたほうがよいという意見で落ち着いた。
当事者が顔を出して、ハンセン病の差別撤廃を訴えることで、縁を切られた家族から「目立ったことはしないでくれ」と嫌がられることがある。そのため、著名人だけが見るようにする。著名人だけが見れる動画ということで、業界で話題を呼び起こす可能性もあるかもといった意見も出た。
■広く伝えるために
ハンセン病の伝え方についても議論した。特に、若者世代は、病気そのものの認知度が低いため、「ハンセン病」というワードを出してもイメージしにくいのではないかと考えられる。
そこで、
・「本名を名乗れない人がいたことを知っていますか」
という形で、ハンセン病そのものよりも、その病気で何が起きたのかをメインに伝えていったらよいのではと話した。そのほかに、大学生の療養所などへの取材ツアーや、書籍や映画から見たハンセン病について伝える案が出た。
アイデアソンで出た企画は集計中で、年明けから順次実施していく。来年1月27日の差別撤廃を訴えるグローバルアピールまでをめどに、活動する。
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