Googleの検索数が「リーダーシップ」より、「アクティブラーニング」の方がついに上回りました。(2016年9月1日 Googleトレンド調べ)いよいよ流行語のようになってきましたが、いろんな定義や方法があり真の「アクティブ・ラーニング」とは何か!?と問われて、自信もって答えられる方は、まだまだ少ないのではないでしょうか。(寄稿=笠井 成樹・慶應義塾大学SFC研究所所員)

▼アクティブ・ラーニングとは
アクティブ・ラーニングは、学ぶ側が「自ら主題を設定」し、実践しながら学ぶことです。
つまり、内発的な動機によって学んでいることが前提になります。
内発的動機は、自身の心の内側から本当に実現したいと望む意志のことです。
一度形成された内発的動機は、揺るぎない自分との約束を生み出し、長く動機が継続されます。

逆に外発的動機は、お金や評価などの欲求、まはた強制的命令など、外部からの関心により動機を生み出すことです。この場合、外発がなくなった途端、動機が消えていきます。

▼「自ら主題を設定」していなければ、主体的(アクティブ)とはいえない
学生、部下、お子さんなど教える立場の方である「先生」「上司」「親」の教え方を通して説明してみたいと思います。

▼先生の教え方
これまでの教育では、お題は先生から与えられるものでした。
そのお題に対する答えを暗記するのが従来の方法でした。
そして、アクティブ・ラーニングが学校教育で少しづつ実施されるようになり、グループワークや、ディスカッションなどが導入されました。このこと自体は良いことなのですが、先生がお題を出している構造からは脱却できていません。

▼上司の教え方
資本主義において、または株主至上主義において、一番出世しやすい人は予算を達成する人です。そのため営業力が高い人のほうが出世しがちです。
出世するに連れ、部下が増えていきますが、予算を達成してきたことと、部下への教育能力が高いかは全く無関係です。
故に上司が部下への教育を上手くできないことが起きます。ですがこれは何ら不思議なことではなく、部下への教育というよりは、トップダウンで予算達成を前提とした指示・命令が飛び交うことが日常茶飯事といえるでしょう。

▼親の教え方
結婚をして子供が生まれると、人は「親」と呼ばれます。
ですが親と呼ばれることと、子供に対する教育能力があることは、これも全く無関係ですよね。
子供が生まれた瞬間から人に教える立場になるのですが、教える方法は自分自身の親から育ててもらった方法ぐらいしか思いつかないのではないかと思います。1つの方法しか分からなければ当然、良い教育方法なのか、悪い教育方法なのかも判断つきません。
ですから、たとえ子供への教え方上手くいってなくても何ら不思議なことではないのです。

▼先生、上司、親3つの共通点
それは、「教え方」自体を誰からも「教えてもらった経験がない」ということです。
日本の教育には「教え方を教える」ことが抜け落ちているため、起きている問題だといえます。
なので教え方が上手くいってないとしても、極めて当たり前なことであり、決して自分を責めてはいけません。

そしてアクティブ・ラーニングは、学校教育のものだけではなく、家庭や仕事場など、あらゆる教える立場の方すべてに共通して活用できる方法です。

▼自ら主題を設定すると何が良いのか!?
他者が設定したものをこなすときと比べて、自分の意志で始めたものは、上手くいかない葛藤が訪れたとき、他者に責任を押しつけにくく、また状況や環境のせいにもしにくくなります。

つまり上手くいかない葛藤が訪れたのは、自分の不完全さからであって、新しい自己の必要性を痛感し、新しい自己を獲得できる機会だと捉えやすくなります。

このように内発的に、学習に転化する意味を自覚できたとき、学びの原動力に火がつき、人は真に成長するプロセスに入ります。

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▼どうすれば、学ぶ側が「自ら主題を設定」できるのか!?
内発的動機となる意志(Will)は、一人ひとり異なります。それを引き出すには、大きく分けて3つの対応が必要になります。
1)受容・傾聴
相手の考えを受容し、話しをさえぎることなく聞き、固定観念をもたないことが大切です。
2)コーチング
人は自分のことを客観的に捉えることは、なかなかできません。それを質問力によって相手は自分自身のことを客観的に捉えることができ、本人も気付いていなかった心の中にある内発的な意志を引き出すことができます。
3)ファシリテーション
相手が安心して話せることが極めて重要になります。それは信頼関係にほかなりません。

▼「教え方」を「教えていきます」
私は、「教え方」自体を誰からも「教えてもらった経験がない」という教育問題を解決していきたいです。教える立場の方は、当然何も悪くなく、かといって現代の教育も、これまでの経済形成に大いなる貢献をしてきました。
だから何かを責めることは無意味であり、ただただ「教え方」を「教えていく」ことに意味があると考えています。
そこで、オンラインで学べるサロンをはじめました。

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▼「内発の経営学アクティブラーニング塾」スタート!!
9/2(金)より、鈴木寛先生と共にオンラインサロンを始めました。
受容・傾聴、コーチング、ファシリテーションに関心がある方、教え方を学びたい方は、是非とも確認してみてください!!
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笠井成樹
・慶應義塾大学SFC研究所 所員(鈴木寛助手)
・社会創発塾 塾頭
・コミュニティオーガナイジングジャパン フェロー

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