1月9日、横浜市みなとみらいにある富士通エフサスにて、フューチャーセンターの今とこれからについて伺った。富士通エフサスが構えるフューチャーセンターは、みなとみらいInnovation & Future Center(以下、みなとみらいIFC)と呼ばれ、四方を窓に囲まれ、ベイブリッジを臨む、開放的な空間である。2014年は、社内イベントを含めて400回のイベントが開かれ、のべ7000人が利用した。(横浜支局=斉藤 巧・横浜国立大学経済学部3年)

みなとみらいIFCを活用した、富士通エフサス主催プログラムの様子

みなとみらいIFCを活用した、富士通エフサス主催プログラムの様子

フューチャーセンターとは、「地位や職種などが様々な人々」の「分野横断的な対話」から「革新的なアイデア」を生み出そうとする施設ないし場のことである。フューチャーセンターで繰り広げられる対話のことをフューチャーセッションという。

一昨年6月、主力事業であるメンテナンスビジネスが縮小傾向にあるなか、新たなビジネスを考える必要のあった富士通エフサスは、フューチャーセンターの設立に踏み切った。みなとみらいIFCでは、顧客とともに豊かな未来を共創することを目指し、フューチャーセンターの機能に加え、現場起点のイノベーションを実践する人材育成の機能も併せ持ち、日々様々なプログラムが行われている。

各プログラムは目的別に、ITのプロフェッショナルを育てていくこと、ビジネスリーダーを育てていくこと、各階層ごとに求められる役割の認識やスキル習得を図る階層別研修という3種類に分けられる。各プログラムは、経営理論のひとつである知識創造理論に基づき進められる。

「変革を起こせる人材を創らなければいけない」――こう話すのは、富士通エフサス人財総務本部人材開発統括部マネージャーの齋藤成施さん。自ら手掛けるプログラムを紹介しながら、みなとみらいIFCでの手応えを熱く語る。

「富士通エフサスの変革は自分たちで起こさなければ」というマインドを持ち、様々なスキルを身に付けた社員が現場起点でデザイン思考をしていく。プログラムの後、世の中に目を向けビジネスのヒントを探すようになった社員は少なくない。俯瞰して見ることができるようになった参加者からは、「考え方、物の見方が変わった」との声が上がるという。

「フューチャーセンターそのものが、違う視点で話をするきっかけになる」。富士通エフサス人財総務本部イノベーション&フューチャーセンターマネージャーの薦田将治さんは、フューチャーセンターが持つ建設的な環境にも着目している。

フューチャーセンターの景色、設備環境は普段とは違う対話の流れを生み出す。みなとみらいIFCは、クイーンズタワーB棟の9階にあり、みなとみらいの美しい景色を眺めることができる。レゴブロックや粘土、さらには3Dプリンタも用意されており、アイデアを形にすることができる。

大規模なワークショップに対応した「Camping Studio」、発表用ステージやグループ討議用の小部屋を備えた「Studio”TOPOS”」、保守研修やプロトタイピングを行う「Furuken Lab」。みなとみらいIFCはこうした機能的空間を持っているが、フューチャーセッションのエッセンスは空間だけに止まらない。

一方で、薦田さんは、社会に対する具体的な課題解決は手探り状態だという。現在はビジネスとの繋がりを探りながら、様々なステークホルダーとのネットワークの構築に重きを置いている。みなとみらいIFCという新たな場を活用して、社会や地域の課題解決にどのようなアプローチを見せることができるのか。今後の富士通エフサスに注目したい。

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