TBS系「世界ふしぎ発見!」の元ミステリーハンターで、一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉里花さんはこのほど、エシカルをテーマにした絵本を出版した。タイトルは、『じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険』(山川出版社)。末吉さんが文章を考え、絵は『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』(汐文社)などを手掛けたイラストレーターの中川学さんが担当した。(オルタナS編集長=池田 真隆)

「じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険」(定価1500円)

本書の主人公は、「名もなきこざる」。ある時、「お父さんざる」から地球の危機を聞かされる。こざるは、現状を調べるため、お父さんざるから世の中を自由に見渡せる不思議な力をもらい、バナナ農園やカカオ農園、コットン畑などを見に行くという物語。

■激安商品の裏には悲惨な実態

現在、日本に輸入されるカカオの8割がガーナ産だ。同国のカカオ生産を支えるのは、小規模農家。その中には、家庭を支えるために、学校に通わずに働く子どもも少なくない。その数は90万人に及ぶという。子どもたちは学校に通わずに成長していくので、読み書きができず、大人になっても就ける仕事が限られてしまう。

2013年4月には、バングラデシュの縫製工場ラナ・プラザの崩壊事故が起きた。ラナ・プラザとは8階立てのビルのことで、30弱のブランドのアイテムが作られていた。

このビルは、政府の建築許可を得ないで、地元の政治家らによって違法に建てられたものだ。ビル内には、亀裂がいたるところに見られ、不安に思った労働者がビルオーナーに知らせたが、改築は行われなかった。崩壊事故による死者数は1127人、負傷者は2500人以上に渡った。

チョコレートや服など身近な製品の生産者にまつわる環境はあまり知られていない。一般的には、激安商品であるほど、生産現場では搾取労働や児童労働、環境汚染などが行われている。同書では、そんな世界の片隅に焦点を当てている。

こざるは冒険を通して、エシカルを訴求しているが、印象的なフレーズがある。それは「見えない世界のことだけど、ほんとうのはなし きみたちとぼくが生きる地球のはなし」。愛らしいイラストで描かれているので、子どもへのエシカル入門書としておすすめだ。

「じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険」



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