社会事業家を育成するNPO法人very50(ベリーフィフティ、東京・豊島)は4月から6カ月間、「未来の持続可能性」をテーマにした「銀座・未来会議」を開く。毎回ゲストに、社会的課題をビジネスで解決する担当者を招き、社会人、大学生、外国人で話し合う。立ち上げたのは、同団体のインターン生で19歳の高橋慶さん(慶応義塾大学1年)だ。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

MoGのプログラムで、インドネシアに滞在した高橋さん(左から2番目)

MoGのプログラムで、インドネシアに滞在した高橋さん(左から2番目)

同会議は、4月17日を皮切りに、毎月第2~4金曜日に開かれ、「高齢化」「格差」「エネルギー問題」などについて考える。ゲストには社会的課題をビジネスで解決する新規事業担当者を招く。司会を務めるのは、同団体の菅谷亮介代表理事と高橋さん。高橋さんは、「若者が感じている社会への素朴な疑問を、企業人に伝え、世代間の壁を越えたい」と意気込む。

高橋さんが同団体に加入したのは、昨年11月頃。きっかけは、同団体が行う教育プロジェクト「MoG(Mission on the Ground)・モグ」に参加したことだ。同団体では、一般から参加者を募り、アジア新興国の企業やNPOに派遣する企画を行っている。

滞在期間は約1カ月間で、現地の団体が抱える課題を、コンサルティングチームとして相談に乗る。そのため参加者は、渡航する前に、アジア新興国に精通する菅谷代表から48時間をかけて、基本的なビジネススキル(マーケティング・ファイナンス・ロジカルシンキングなど)の講習を受ける。

菅谷代表は外資コンサル出身で、2008年に同団体を立ち上げた。新興国にビジネスパーソンを派遣するプログラムの草分け的存在だ。ネパールやインドネシア、バングラデシュなどアジア10カ国、30人以上の同地域の社会起業家の指南役を務める。モグの卒業者は、2015年3月で498人にのぼる。

MoG1回につき、大学生や社会人など10人前後が参加

MoG1回につき、大学生や社会人など10人前後が参加

高橋さんは、昨年9月末のモグに参加し、カンボジアとインドネシアにそれぞれ2週間ほど渡航した。それぞれの国で、日本人が経営する企業のコンサルタントとして、事業課題に挑んだ。高橋さんにとって、新興国と呼ばれる地域に入ったのは、この機会が初めてだった。

「新鮮なものだらけで、自分にはなかったものが手に入る気がした」と振り返る。高橋さんの親は医者で、「不自由のない暮らしができていた」という。高校は有数の進学校に通い、バレーボールに没頭し、青春を過ごした。

貧困地域で暮らす人との直接の接点はなかったので、新興国では見るものすべてに刺激を受けた。こうして、同団体にインターンとして申し込んだ。企画した銀座・未来会議では、「ぼくみたいな普通の人がアクションを起こすことで、周りの興味を持っていない同世代が動くきっかけとなればうれしい」と期待を込める。

【銀座・未来会議の日程】
4月17日(金)「未来の都市とヒト」
テーマは「未来の都市と人に起きる変化」。都市化にともなって起こる現象・問題を考察することで、新たなビジネスチャンスを見つけていきます。
申込:http://very50.com/detail.php?id=851

[showwhatsnew]