横浜市西区東ケ丘に、気軽に「留学」ができる古民家がある。一見すると何の変哲もないただの一軒家だが、扉の先には異世界が広がっている。筆者は3月にそこを訪れたが、その日はトルコへとつながっていた。(横浜支局長=武居隼人・横浜国立大学教育人間科学部3年)

地域、子ども、旅人に開かれた「軒下」のような空間を目指す

地域、子ども、旅人に開かれた「軒下」のような空間を目指す

古民家の名前は「カサコ」。NPO法人Connection of the Children(CoC、ココ)の事務所として使用されており、スペイン語で「ココの家」を指す「ラ・カサ・デ・ココ」を略して名付けられた。

ココ代表の加藤功甫さんはユーラシア大陸2万キロを自転車で走破した経験の持ち主。加藤さんはその際、世界中の子どもに糸を繋いでもらうことで一本の糸を作成。目に見える形で世界中の子どもをつなぐプロジェクトを行った。その時の思いをもとに、この古民家を、旅人×子ども×地域の人々が気軽に交流できる軒下のような空間にすることを目指している。

今後、カサコでは世界各国の料理を食べながら国際事情や異文化、風習などについて話すカサコパーティー(略してカサパ)を定期的に開催する予定だ。第一回目はトルコをテーマに開催され、トルコレストランでシェフの経験もあるという加藤さんらが、ムサカ(ひき肉とナス炒め)、アイラン(ヨーグルト)、トルコ風サラダを振る舞った。

カサコの外観、「軒下留学」の入り口

カサコの外観、「軒下留学」の入り口

カサコのプロジェクトは2月1日に実施された横浜市主催の助成金制度「まち普請」の最終プレゼンテーションを経て、同市の助成対象に指定された。ココの加藤さんは一年間かけて地元である東ケ丘町内会との連携を深めており、審査でもその点が評価されたという。

トルキッシュナイトの参加者も町内会長や地元の小学生などの近隣住民が多く、地元の人々への浸透度が伺えた。

「(自分たちは)ここにきた1年前は、よそ者でした。でも、一年間の地道な活動が実を結んだように感じます」と加藤さんは言う。

助成金はカサコのハード面の整備に使われる。現在の古民家をリノベーションして、より地元に開かれた空間を目指す。

「完成した暁には、様々な方がカサコを拠点につながり、わくわくするものを発信できるようにしていきたい」と締めくくった。

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