性と生殖における保険活動を行う国際家族計画連盟(英国、以下IPPF)はこのほど、立正大学付属 立正高等学校(東京・大田)と組み、女性の妊娠・出産問題の啓発動画を制作した。世界では、1日に800人、2分間に1人の割合で、女性が妊娠・出産のために亡くなっている。動画を制作した目的は、この問題に対してオンライン署名を集め、今年9月の国連総会で提出するため。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

途上国で望まない妊娠などで苦しんでいる同世代である高校生が等身大の演技をした

途上国で望まない妊娠などで苦しんでいる女性たちと同世代である高校生が等身大の演技をした

IPPFが動画を制作したのは、「I decide-私の未来は私が決める」キャンペーンの一環として。同キャンペーンは、女性が自分の意思で妊娠・出産を決められる社会を目指すため、オンライン署名活動を行っている。2014年5月から世界172カ国で実施され、今年9月の国連総会で署名を提出し、女性の妊娠・出産問題を訴える。署名は現在、32万人から集まっている。

世界では1日に800人・2分間に1人の割合で女性が妊娠・出産をすることで亡くなっている。その原因は、不衛生な人工妊娠中絶や出産時の大量出血など。本来、「子どもを産むか産まないか、いつ産むのか、何人産むのかを決める自由」は、「リプロダクティブ・ライツ」という享受すべき人権の一部として、国連で認められているもの。

同キャンペーンでは、この基本的権利を享受できないでいる女性と男性の存在を国連で訴えることを目指す。国連で訴える理由は、このたびの国連総会で採択される今後15年間の新たな国際開発目標(ポスト2015年開発アジェンダ)に、この問題を入れるためだ。

日本でも「不幸な妊娠」は少ないとはいえない。厚生労働省が2013年に行った「人工動態統計年報、衛星行政報告例」では、2013年に命を授かったのは124万4009人で、そのうちの約15%にあたる18万6253人が中絶で産まれてこなかった。中絶した理由は、「経済的余裕がない」「相手と結婚していないので産めない」「相手が出産に同意しなかった」が上位をしめた。

同キャンペーンの日本窓口は、国際協力NGOジョイセフが務めている。今回制作した動画は、日本で「I decideキャンペーン」の署名活動を加速させるため。実際に開発途上国で望まない早期妊娠・出産や性暴力などの被害を受けている女性たちと、同世代の日本の高校生に協力を依頼した。オンライン署名は同キャンペーン公式サイトで集めており、期間は国連総会が行われる9月まで。

◆「I decide-私の未来は私が決める」の公式サイトはこちら

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