スマートエネルギーハウスや自然素材住宅など、地球環境やエネルギーに配慮した住宅ニーズが高まっている。そんな中、住宅の環境性能を評価する新しい認定制度が誕生、5月20日にスウェーデン大使館で開催されたサステナブル住宅フォーラムで発表された。海外・国内の環境基準などをベースに、独自のルールに沿って詳細な評価項目を追加。認証団体は、日本各地の工務店や設計事務所が加盟する一般社団法人環境循環型住宅推進協議会(本部所在地=神奈川県川崎市、代表¬=阿部悌二)だ。同会が目指す「地球1個分の家づくり」=「One Planet House®」の普及につなげる。(オルタナS関西支局特派員=立藤 慶子)

スウェーデン大使館で開催されたサステナブル住宅フォーラム

スウェーデン大使館で開催されたサステナブル住宅フォーラム

世界自然保護基金(WWF)のレポートによると、現在の人間の消費生活を支えるには地球1.5個分の資源が必要で、このままの状態が続けば、2030年までには地球2個分相当の資源が必要になるという。

そのためWWFは、地球1個分で暮らせる持続可能な生活や社会を実現する「One Planet Living(ワン・プラネット・リビング」という考えを提唱。2012年のロンドン五輪でも「Towards a One Planet 2012(地球1個分の暮らしに向けて)」が大会テーマとなるなど、国際的に注目を浴びる概念となっている。

環境循環型住宅推進協議会はこの概念を一般住宅へ採用し、環境循環型住宅の普及を目指している。2012年には、2002年の地球サミットで国連が提案したキーワード「WEHAB」(ウィーハブ、Water(水)・Energy(エネルギー)・Health(健康/ゴミ)・Agriculture(農業)・Biodiversity(生物多様性) の頭文字を繋げた造語)のそれぞれに数値目標を掲げた家づくりを目指す住宅ブランド「むくむくはうす®」を立ち上げた。

この理念に賛同する工務店・建築事務所は、今や東北、関東から近畿、中国まで全国に広がりつつあるという。今回の新基準は、「むくむくはうす」の共通指標とするとともに、基準の設定でより多くの工務店が「むくむくはうす」ブランドへ参加しやすくなることを目的としたものだ。

基準策定にあたっては、スウェーデンやノルウェーなど北欧5か国に共通する公認環境ラベル「SWAN」や、国土交通省管轄の建築環境総合性能評価システム「CASBEE」、EUの有害化学物質規制「REACH」の基準をベースにしたうえで、「地球1個分の家づくり」の理念に則り、「地下資源より地上資源」「自然に還すことができる以上に資源を摂取しない」といった独自のルールに基づく評価項目を追加。

上述の「WEHAB」に応じて、住宅資材のトレーサビリティやごみ分別システムの導入、生物多様性を守る木や植物などの導入も加えた。さらに、エコライフを提案するガイドブックを施主に配布するなど、住まい方への提案も含めて加点性を導入している。
 
同会は、「この認証制度の普及を通じて、日本における住宅づくりの概念を変えていきたい。多くの工務店様の参加を期待しています」と話している。

◆一般社団法人環境循環型住宅推進協議会はこちら