岩手県大船渡市にある「大船渡津波伝承館」は、地震や大津波の脅威や経験を、映像や語り部を通じて発信している。同館の齋藤賢治館長は、津波の被害にあったら、「今の若者は文化にどっぷり使っているから、ライフラインがなくなった際にすぐに生きていけないだろう」と話す。「すべてはあなたに助かってほしいから」――被害を経験した大人として、厳しく愛を持って若者に伝える。(学生による被災地支援のための市民メディアプロジェクト支局=舛田 貴司・武蔵大学社会学部メディア社会学科2年)

大船渡津波伝承館のサイト

大船渡津波伝承館のサイト

筆者たち、学生(学生による被災地支援のための市民メディアプロジェクト支局=鈴木志帆、蓑原万優)は暑さも増してきた5月11日、熱海で行われた「TAKATA-FESTA in熱海」に取材をしに訪れた。

このフェスのイベントの一つに「大船渡津波伝承館」の齋藤賢治館長による講演があり、非常に印象深かったので取り上げることにした。

約1時間の講演では、2011年3月11日、大船渡市で家や車が流される様子を撮影した映像が流された。この映像は、齋藤館長が津波被害に遭いながら、自身のスマホで撮影したものだ。

その映像では、撮影している館長自身の叫び声、泣き叫ぶ女性の声などあまりにも悲惨な状況が映し出された。涙を流して、観ている人もいた。

館長に撮影している時の心情をお伺いしたところ、撮影をしている際には、自身がパニックにならないように、あえて地震というワードを出さなかったそうだ。

「政府が出しているハザードマップは現に震災が起こった際に意識する事ができない」
「津波の進路やスピードなどわからない」
「自分がいまどこにいるかもわからない」

――なぜこのような感覚に陥るのか。
それは普段から地震や津波にたいしての心構えができていないからだと館長は言う。

実際、著者自身が今この記事をかいている時点で大地震が起こった際にはパニック状態になるだろう。そうならないためにも日頃からの危機意識を持つ事が大事なのではないのだろうか。

筆者達を含め学生をはじめとする若者に対して館長は、「今の若者は文化にどっぷり使っているから何かライフラインがなくなった際にすぐに生きていけないと言う。若い人だからこそしっかりと生き抜いてほしい」と語った。

今回の話を通じて、筆者たち大学生は幸いにも自分がしっかりと意識して考えている時期に大震災に遭ったからこそ、この記憶を忘れてはいけないと強く感じた。そして、次に大地震が起きた際には、冷静にいて、逃げ方などを他の人に伝えることが出来るように、日頃からの危機管理が必要だと思った。

インタビューに真剣に語ってくれた齋藤館長

インタビューに真剣に語ってくれた齋藤館長

館長は「、将来は会館みたいなのを作り何十年後も語り続けていく環境をつくりたい」と話していた。すべては「あなたに助かってほしいから」。

     
[showwhatsnew]