今年は「琳派400年」の節目の年とあって、これまで京都の寺で行われていた会場を400年を記念して京都劇場に移して開催。琳派作品のイメージ映像が流されたり、バンドの生演奏が行われたりした。現代を代表するクリエイターが細部にまでこだわり、例年とは一味も二味も違う演出と構成のイベントになった。

作品を出展した和装作家の1人である、絞り染め作家の藤井浩さん(68)は絞り染めをベースに素描きやぼかしの技法を駆使し、出展作品全てに四季の草花を描いた。なかでも、琳派の画家が好んで取り上げた椿を、黒地に色鮮やかに散りばめて生命力を表現した作品を着たモデルがランウェイに登場すると、観客の注目をひときわ集めた。

「作家自身が構想や制作から仕立て、コーディネートまで全て行い、約半年間、準備に専念した。これからは単なる技としての伝統工芸ではなく、魅力ある産業としての伝統を次世代に伝えていきたい」と、藤井さんの長男で過去に出展経験もある会場スタッフの裕也さん(43)は意気込む。来年のショーでは、どのような表情の作品が出展されるのか、今から目が離せない。

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