町の中心部から約40分、ユーフラテス川からの水を貯めるアサド湖のほど近くに、それはあった。湖のほとりにそびえる土色の城は、今でも雄大な姿を誇る。階段を登り、入り口を入ると回廊が続き、壁の隙間にある階段を登ると、辺りを見渡せる天井部へ。風の音だけが聞こえ、のどかで落ち着く場所だ。
もっとゆっくり見たいと思う気持ちをよそに、運転手と(なぜか一緒に来ている)彼の友人は僕らを急かした。彼らはアイハム(事務所でアルバイト中の大学生)の友人である。5月に一度、僕ら4人はアイハムと彼らと一緒にピクニックに行ったことがあり、今回もアイハムのツテで車を出してもらった(しっかり車代を払っている)。30分足らずの滞在でカラートナジュムを後にし、彼らは車を湖に向けて走らせた。到着すると、彼らはおもむろに水着に着替えだす。
「さぁ、泳ごう!」水着を持ってないからと断っていたが、結局トランクス姿で入った。同期の女の子たちは入らずに、木陰で談笑をしていた。現地の女性は服のまま入っていた。誰のための遠足だろうか、という気もするけど、楽しかったし良いことにする。
が、一点。前回のピクニックでも気になったことが、やはり今回も気になった。彼らは平気でゴミをその辺りに捨てるのである。笑いながら僕の持っているゴミを奪い、その辺に捨てるので、「ダメだってば」と言いながら、それを拾ったこともある。ゴミを捨てるのは彼らだけではない。シリア中で放置されたゴミ、特にビニール袋がすごく目に付く。なんとか、周りの人だけでも、ゴミをポイ捨てするのはよくないと言おうとするのだが、あまりにも皆がやっていて言いにくい。果たして、どうやって伝えたらいいのか。何回も同じことを言うだけでは駄目だろうし、僕が言って捨てないようになった人たちもいるが、それでは解決できていない。