近年、子どもが学校や塾などで勉強する時間が増えている。また、共働き世帯が増加していることで、家族の団らん時間が減少。そのため、親が子に、生きる上で大切な食の大切さや心の豊かさを伝えられなくなっている。

「弁当の日」は、こうした背景を受け、生きていくための基本的な力を育てる“くらしの時間”を取り戻そうと、2001年、香川県の小学校で当時校長を務めていた竹下氏が始めた取り組み。

具体的には、子どもが年に数回、自分で作ったお弁当を学校に持参するというものだ。親の手伝いなしで、献立から買い出し、調理、弁当詰め、片付けまでを行う。竹下氏は、講演や執筆活動を通じて、この取り組みを全国へ普及。現在、1700校以上が「弁当の日」を実施している。

家族の絆の大切さを訴える竹下和男氏

家族の絆の大切さを訴える竹下和男氏

講演で竹下氏は、「ご飯は買えば済むものだと考え、子育てをおろそかにする親が少なくない。子どもの健やかな成長を阻んでいる」と指摘。さらに学歴最優先の教育によって、自己中心的な人格が形成され、それがいじめなどの引き金になっているとした。

思いやりのある子どもを育てるためには、子どもが親の愛情を実感することが重要だと竹下氏。「子どもを台所に立たせることで、親への感謝の気持ちが芽生え、家族のために役に立ちたいという心が育っていく」と話し、「子育てを楽しむ親に育てられた子どもは、将来、子育てを楽しめる親になれる」と強調。会場は温かい拍手に包まれた。

「子どもたちだけのお弁当作り」に参加した小学5年生の八木 咲穂(やぎ さほ)ちゃんは、「きんぴら作りが楽しかった。これからも家で作っていきたい」と笑顔。母親の史(ふみ)さんは、講演会を聞いた後、娘のお弁当作りを見て「私もがんばって作ろうという気持ちが強くなった」と話した。

弁当の日公式サイト

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