——どういった経緯で今回のプロジェクトを立ち上げたのでしょうか。

西田:「地産地消のタイ料理『ご当地グリーンカレー』で日本を元気に!」というプロジェクトが始まりです。それまでは47都道府県を一県ずつ取材してフードイベントを開催することが主な活動でした。この活動は、地道ともいえます。だからこそ、イベントから派生する形で新たな事業も誕生したんです。けど、タイ料理をテーマにやっているので、解釈の違いやイベント自体のイメージの持ち辛さがあって、中々上手くいかないこともありました。

そこで考えたのがグリーンカレーのレシピコンテストです。コンテストを通して、各都道府県の食材を使用したレシピ作りを目指しました。一個でも、地元食材でのタイ料理のレシピがあれば、イメージしやすいですよね。そうやって、初めてクラウドファンディングを活用したんですけど、その時にReadyfor×アサヒグループホールディングスが実施した「食の特集」で、マッチング・ギフト大賞を受賞できたんです(READYFOR?マッチング・ギフト大賞受賞について)。今回は第二弾として、タイ77県のご当地食材を使った飾り巻き寿司ワークショップを開催する流れという訳です。

茨城:那珂湊産やりいかの肉詰め グリーンカレーソース

茨城:那珂湊産やりいかの肉詰め グリーンカレーソース

——タイで飾り巻き寿司のワークショップと前回で異なることは何ですか。

西田:今までの取り組みでは、タイの展示会に地場食材を持っていくことがメインでした。日本では二ヶ月に一回というペースでフードイベントを開催していたのですが、タイとなると年二回が現実でした。

今の段階ではこれでいいのかもしれませんが、団体として次の段階に移る時にタイも日本と同じような状態にする必要があります。それを今回のクラウドファンディングで着手できると思っています。77県の産地巡りを主軸に、そこで出会った食材、作り手、観光のことをヤムヤムが吸収することで、タイ国内での流通の確保はもちろん、2000店を超える日本食レストランへの提供にもつなげる機会にもなります。

日本から仕入れた食材は高くて、提供する料理の値段もあがってしまいます。ここでタイの食材を使って欲しいんです。この発想は現在あまりなくて、それを変えていくために今回の飾り巻き寿司のプロジェクトが大きな意味を成します。農家にとってみれば、まさかタイ国内の高級とされている日本料理屋に卸せることになる。そんな発想を初めから持つことは難しいですよね。けど、今回の新たに企画を持ち込むことでそれらの実現にぐっと近づけられると思っています。

——なぜ飾り巻き寿司を選んだのですか。

西田:タイにおける日本料理が確立されることによって、日本料理自体の価値観も変わっていくと思います。例えば、飾り巻き寿司は遊びの要素が多い寿司だと思っていて、クールジャパンに近いイメージを持っています。各地方にゆるキャラが存在するように、地方には伝統的な巻き寿司が受け継がれている。江戸前の寿司はタイにもあります。さらに言えば、タイ国内のいたるところに寿司屋がある。けど、飾り寿司は郷土料理として残っていて、種類が違えば、お祝いのための寿司のように地元のストーリーも違う。

参加者に握り寿司を作ってもらおうとは思っていなくて、参加者をより巻き込むためにも飾り巻き寿司にしていて、イメージの良さと、ストーリー性を重視してもらおうと考えています。日本とタイがノリで巻かれていく、食文化が一つになるイメージもありますね。さらに、このコンテストを通して、日本の和食チェーンとの提携も想定していて、タイの食材が日本国内で使用される環境作りにもなります。

タイ人向けのHPの作成や、寿司のプロジェクトの拡散を急ピッチに進めていて、情報の拡散が今後の課題ですね。

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